第19章 別れ
「キリキリちゃん、ボロボロになって死んだんやってな。」
アマモリくんはうつむいた。
「…信じられへんかった…またにこにこ笑って来るんちゃうかって……けど、もう二度と来んかった。…遺体は、盗まれて…遺品もほとんど残していかんかったって聞いた…唯一刀だけが遺品やったって……。せやから、君のお墓は刀鍛治の里にあったんよ…。」
私の死語の世界を、彼は語っていました。
「ほんで、継子いう奴が後に来てな…なんか、その墓の横に何か埋めて、小さな墓つくっとった…。…そん時に、キリキリちゃんの話全部聞いたんよ。」
継子が…。
あの子が、そんなことを。
彼がつくったそれは、紛れもなく私の子供のお墓だ。
そう、隣に埋めてくれていたの。
「……見たで、キリキリちゃんの刀…ボロボロになって死んだって聞いたのに…」
アマモリくんの頬に涙が流れた。
「………刀、傷一つついてへんかった」
「………」
「大切にしてくれて、ほんま、ありがとう……これ、ずっと伝えたかったんよ……」
アマモリくんは涙を拭いた。
私は我慢できずに泣いていました。
「私……アマモリくんの刀と、風車の音…今でも覚えています。」
「…どうか、忘れんでいてね…。……もう、声をかけても、何も返してくれへんような…あんな悲しいのはいやや…。お墓の前で泣くんはいやや…。」
私達は泣いていた。歩くのをやめて、子供のように泣きました。人気のない卒業式の学園は、ひっそりと静まり返っていました。