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キメツ学園【鬼滅の刃】

第19章 別れ


私はあの場所に立っていた。


『……なぜ…』


向こう側の私がポロポロと涙を流している。


『なぜ、君が私を呼ぶのです…』

「……やっと、会えたね…。」


私も泣いていた。
わけもわからないけれど、悲しかった。悲しくて悲しくてたまらなかった。


『そう…私……お祝い、…できなかったの…』


ポツポツと呟く。


『………私、そうです、私の誕生日に死んだんです…。』


その日は誕生日だった。誕生日の次の日に継子のお祝いをしようとしていた。私は何もできないまみ…。


『誕生日……』


向こう側の私が呟く。
すると、どういうわけか新たな記憶が流れ込んできた。












































『私、また年を取るんです』


そうだ。26歳になるんだ。


『……それはめでたい』


この声、その姿…。


『行冥』


あぁ、忘れるものか。忘れない。あなたのことは。


『めでたいんでしょうか。私の年になると、辛いだけですよ。』

『…まだ若いだろう。』

『そんな、私一番おばさんですよ。』

『だが、何度手合わせをしてもあなたは衰えない。…むしろ、力が強くなっているような気がする。』

『それでも、私の全盛期は過ぎてしまった。』


彼は大きな手を私に伸ばして、そっと私の頬を撫でた。

この手が、私は大好きでした。


『そんなことはない。』

『いいえ、わかるんです。継子の方が…私より優秀です。』


私は彼の手に自分の手を重ねた。


『でも、まだ…。まだはやい。まだ側にいてあげたい。あの子が成長するまでは…私、柱でいたいんです。』

『……そうか。』

『…もし私が死んだら頼みますね、お願いしますね。まだ声変わりもしていないような、小さな男の子なんだもの。』


行冥が私を抱き寄せる。彼の体温は安心できる。


『死ぬなど言うな。』

『……。』

『誕生日は祝いに行く。お前がいくつになっても…。』


でも。


あぁ、そうだ。



私、死んだんです。


行冥に祝われる前に、私、死んだんです。

日付が変わったばかりの、深夜に。


あぁ、そうだ。



私は、私は。




私は。
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