第3章 青春
そこは将棋部だった。
中には数人の先輩がいて出迎えてくれた。
今世では全くやったことがないが…。
前世では日常的に継子とやっていた。
冨岡くんも時代的にルールは知っているだろう。やったことあるかはさておき…。
いや…彼、やったことあるな。
私と冨岡くんは先輩を全て負かし、最後に打ち合った。
結果として私が勝った。
「……強いな」
「冨岡くんこそ…。」
私は考えすぎて頭がパンクしそうだった。先輩たちがぜひ入ってほしいと勧誘してきた。冨岡くんは仮入部届けを書いていたので私も流れで書いた。
部室から出たあと、私は冨岡くんに話しかけた。
「そういえば実弥は?」
「まだトロンボーンを吹いている。」
よほどハマったのだろうか。冨岡くんのよそよそしい態度を見て、私は声を潜めて言った。
「前世のように私のことが嫌ならそれでかまいませんよ。私も話しかけませんし。」
そう言うと、彼は言った。
「いや……俺はあなたが…」
そこで彼は口を閉ざした。
「…何でもない。俺は何も気にしてはいない。忘れてくれ。」
冨岡くんがそう言うので私は黙った。
その日はそれで終わった。