第3章 青春
次の日は最初から吹奏楽部に体験に行った。私はトランペットだけでなく全ての楽器を吹くことにした。
一番驚いたのは実弥と冨岡くんが来ていたこと。丁度トロンボーンのところだ。
「おおぉ…まじ楽しいぜぇ……!!」
「全然動かせない…」
大興奮の実弥と…冨岡くんは上手にできていないようだ。
私も吹いてみたがスライドがなかなか扱えない。実弥はスライドのポジションも覚えたみたいですいすい動かしている。
二人を残しその後にサックスパートに行ったが宇随先輩がいない。美術部だろうか。サックスも楽しかったがやっぱり私はトランペットかな。
最後には仮入部届けを出した。
そして美術部に向かう。
案の定、宇随先輩と伊黒くんがいた。思えば、実弥は伊黒くんを知ってるんだよね…。私の死後の人物のはず。だから私は知らないけど。
「お、来たか。」
「はい。吹奏楽部に寄ってきたんです。」
「そーかそーか。霧雨は他に気になる部活はあんのか?」
「私、運動部は嫌なので入るのは文化部って思ってます。」
私がそう言うと昨日と同じように絵の教材に目を落とした伊黒くんがこちらに目を向けた。
「伊黒くんは仮入部なの?」
「いや、本入部だ。他の部活はあまり興味がなかった。」
「そっかぁ…。私どうしようかな。」
「掛け持ちしたらどうだ?ここ三つまでならセーフだからな。」
そう言われた。とりあえず美術部も仮入部を出した。
そのあと、ぶらぶらしていたら冨岡くんに会った。
どこか部屋に入ろうとしていたので私は声をかけた。
「どこに行くの?」
今の私にはまだ慣れないみたいで、彼は少し戸惑いを見せた。