第3章 青春
新学期でやることといえば、新体力テスト。
銀杏組は隣のクラスの里芋組と合同で一年を通して体育の授業をする。
私と実弥と冨岡くんは離れた位置から目を合わせた。
知ってる。
私は知っている。
胡蝶カナエ。
教師が出席確認で彼女の名前を読んだ瞬間、私たちは反応した。私が死ぬ前に彼女は死した。覚えている。
17歳で死したとき、私は確か24歳。一年もたたずして私は死んだ。
…彼女は思い出していたのだろうか。少なくとも、実弥の知る伊黒くんは思い出していなかった。ちなみに伊黒くんのことは冨岡くんも知っていた。
胡蝶カナエ…。彼女も私と同い年なのね!私以外は年齢合ってるみたいだしなぁ…。
「それじゃあ、まず今日は50メートルそうです。」
体育教師によりそれは始まった。
順番に皆走っていく。
陸上部に入ろうかなと言っていた子達が速い。
私達元鬼殺隊は、運動神経も体格も見た目も何もかも前世と同じだ。現代に触れて変わった性格は違うかもしれないが。
それゆえ速い。
「霧雨、7秒5!」
皆が歓声をあげた。そのあと里芋組の胡蝶さんが走った。相変わらず美人な顔だなぁ。
「胡蝶、7秒9!」
速い。
一度だけ手合わせをしたことがあったけど、私の方がほんの少し速かったのを思い出した。懐かしい。
そして男子ともなるともうすごい。
「伊黒、7秒5!」
「不死川、6秒8!」
「冨岡、6秒7!」
伊黒くんは十分速い方だ。他の二人がおかしいのだ。
「冨岡に負けたあ!!」
実弥はすごく悔しそうだった。
その後も私達は全てで好成績を叩き出し体育は終わった。
一年生にものすごく速い奴らがいると運動部の勧誘も受けたが私たちは全員断った。
仮入部聞かんも終わり、結果的に。
伊黒小芭内、美術部。
不死川実弥、吹奏楽部。
霧雨、吹奏楽部、美術部、将棋部。
冨岡義勇、将棋部。
全員まさかの文化部に。
私に至っては三つ掛け持ちしたのでメインは吹奏楽部にした。優先するのは吹奏楽部の活動ということだ。