第16章 餓鬼
泣きはらした顔で私が帰ってきたのでおばあちゃんは驚いていた。
「どうしたの?何があったの?」
「……何か、悲しい映画見ちゃって、勉強会だったんだけど」
「あらまぁ、でも中学生なんてそんなものよ?」
おばあちゃんがクスクス笑う。
優しいいつものおばあちゃん。
過去の私は、この優しさも知らないんだと思うとまた泣きそうになる。
「さ、おじいちゃんが帰るまでにその顔を何とかしないとね。保冷剤で目を冷やすのよ。」
「うん。」
おばあちゃんの言う通りに目を冷やした。
やたらとしみて痛かった。
実弥に教えてもらったことを復習しているとスマホが鳴った。
特にためらいもせず通話ボタンを押す。
「もしもし」
『もしもし、?』
「うん、どうしたの?」
カナエが少し言いにくそうに聞いてくる。
『あの、ちょっと…テスト期間中に申し訳ないんだけど、私の家に来て欲しくて…。』
「え?」
『なるべくはやくがいいの。』
「……別に暇だし明日でもけど?カナエの家ってどこらへん?」
『自転車ですぐなの。じゃあ、明日にお願いね。』
「…じゃあ、明日は自転車で学校行くよ」
少し変な話だけれど、まぁどうせ勉強会だろう。
私はおばあちゃんにそのことを伝えた。悲しい映画を見ないようにね、と言われた。