第16章 餓鬼
「!」
おばあちゃんの声にハッとする。私は腕を引っ張られていた。ん?何だ?目が痛い…って。
天井が見えない。…てか、息ができない。
これ、水の中……!?
「ゲホッ、けほ、……!!」
「んもう!!あなたったら!!」
吐きそうなほど気分が悪い。
「お風呂で寝るなんて!!」
「……え、寝てた?」
「長風呂だなと思って来てみたら、全身沈んでるんだもの!」
やば…無意識だった。
頭がふらふらする。
「ほら、はやく上がりなさい。」
「はー…い」
溺れるところだった…。
バスタブで死ぬとかけっこう笑えないんだけど…。
ていうか、私…。
変な夢見た。
はっきりと覚えてる。私は私に会った。あれは夢じゃないと思う…。
話してたんだ、私と。過去の私が記憶を全部持ってるんだ。
…でもどういうことだろう。私、多重人格ってこと?
わかんない。あー、わかんない。
このままボーッとしてたらまた寝ちゃいそうだし、さっさと風呂から出ちゃおうっと。