第16章 餓鬼
午後一番の授業は数学だった。
私は提示された問題を解き終わって、うとうとしていた。
はやく授業終わらないかな。珠世先生から教えてもらったときは眠たくなかったのにー。
何でかな。この学校の机、眠気を誘う魔法でもかけてあるのかな。眠たいな…。復帰早々寝るって何考えてるんだろう、私。でも皆のなかでは入院ってことになってるし…。
あぁ、ダメだ。
私は諦めて、机に突っ伏した。
「ん?」
久しぶりに外出したら、足元に真っ白な蛇がいた。夜の闇に映える白だ。
「…珍しいな」
ここらへんにいるの、茶色の蛇なんだが。
そのまま跨いで行こうとしたけれど、私の進行方向に誰かがいた。血を流していた。
「どうした?」
「……誰だ」
「もしもし、見えているか?」
目が虚ろだった。
隊服を着ているから、鬼殺隊だろうけど。
すると、あの白い蛇がするするとその人のもとに向かい首に巻き付いた。
「ん?」
私はその蛇の首根っこをがっしりつかんだ。これなら噛むこともないし。
「…俺の……俺の蛇だ…!!!」
すると、朦朧とした意識の中その人が言った。
「危険だぞ?」
「いいから、手を離せ」
私が手を離すと、自由になった蛇はすんなりと彼の首に巻き付いた。
顔が包帯で隠れていて見えないけれど、吐血しているのか赤かった。血は…。これは、急所だ。
「服脱いで、傷を縫うから」
「……動けん」
と言いつつ…さっきからすごい殺気なんですけどね。なかなか精神の強い子です。
「服切るよ」
懐に隠していた普通の短刀で服を切り裂く。傷口が見えた。