第3章 青春
中の状況も上手く説明できなかったので、私はついていくことにした。
まずは美術部。
美術室につれていかれた。
「美術部は今のところ部長の俺一人。で、さっそく入部してくれたやつがそこにいる。」
「……」
私はそちらに目をやった。黒髪のマスクをした切れ長の目をした男子がいた。椅子に座って絵の教材に目を通していた。現れた私達に目を向ける。
何と、目の色が違う。オッドアイとやつか!中二心がくすぐられ…って、そんなのないや。
「新入部員ですか」
「いや、ただの見学だ。お前と同じ一年生。」
四つの机が小学生の時の班体制に並べられていた。私と先輩はそこに座る。
「まず自己紹介な。俺は宇随天元。部長をしている。」
その名前を聞いて、何だか聞いたことがある気がした。
だが何もわからない。気のせいだな。
「俺は伊黒小芭内だ。絵は初心者。掛け持ちはしない。」
「私、霧雨。伊黒くん…同じクラスだよね。」
「そうだな。同じクラスの人がいると心強い。ぜひ前向きに考えてほしい。」
「あはは、何か成り行きで来ちゃったんだけど…。私も初心者。入っても入らなくてもよろしくね。」
自己紹介が終わったところで宇随先輩から活動日と活動内容を聞いた。掛け持ちしている先輩はこちらをメインにしているらしい。部員一人ならそうか。
「二人いないと部活としては機能せず来年から廃部になっちまう。できればたくさん入ってほしいが…。俺は掛け持ちしているうえに一人しかいねえからそんなに勧誘もできねぇからな。まぁ友達にも声かけてくれや。」
「は、はい」
私が頷くと先輩はにかっと笑った。
「よし!じゃあ吹奏楽部の方に行くか!」
「はい」
私は伊黒くんに手を振り美術部を去った。
吹奏楽に向かう途中、先輩が説明してくれた。
「楽器ごとに違う部屋で練習するんだ。だから何の楽器がいいか決めるのがはやいんだけどなぁ。」
「…すみません、どんな楽器があるかわからなくて。」
「だよな。これ見るとわかるか。」
先輩はチラシを取り出した。
全ての楽器を教えてくれた。私は一番目を引いた楽器を指差した。