第3章 青春
放課後、私達は部活勧誘も聞かずに教室に残った。
「久しいな、二人とも。」
「お久しぶりです、冨岡くん」
実弥はうっとうしそうに睨んでいた。私は別に彼のこと嫌いとかは思っていません。向こうは思っていたかもしれませんが。
「二人とも記憶を思い出していたんだな。俺は小三の冬に風呂の中で思い出した。湯船の水を見ていたら水の呼吸が頭に浮かんだ。」
「そこまで聞いてねぇよ!!」
実弥が怒鳴る。そこまで噛みつかなくても。
「まぁまぁ、ねぇ冨岡くん。私と実弥は家が隣の幼なじみなの。そしてこの通り、私は年齢がおかしくなってる。理解した?」
「…理解した」
「私達が決めた決まりごとがあるの。聞いてくれる?」
私は一から説明した。冨岡くんはこくこく頷いた。
「わかった。俺も守ろう。」
「よかった。冨岡くんは私達以外に記憶を取り戻した人を知ってる?」
「……いや…知らない。知らないが、前世の顔見知りには出会った。」
「?誰ですか?」
冨岡くんが口を閉じる。黙って実弥を見る。まるで助けを求めるように。
「チッ。おい、お前は外出てろ。」
「……わかった」
恐らく、私が死んだ後のことだろう。大人しく外に出た。
廊下で暇していたところ、巨漢な男子が廊下を通っていった。
先輩だろうか。所謂ヤンキーってやつだ。
「………」
思い切り睨まれた。イケメン?という部類に入るんだろう。綺麗な顔だ。
「………」
あぁ怖い。
私は縮こまった。
「…おいあんた」
「は、はい」
え。
声をかけられた。
どうしよう。
「……一年か」
「え!?あ、は、はい」
「ん」
ズイッと差し出されたのは何かのチラシ。
そこには吹奏楽部と美術部のチラシ。
「俺掛け持ちしてんだ。良かったら今から来いよ。」
「…!?あ、部活の勧誘…ですか」
私はやっと納得した。
「部活決めたのか?」
「決めてないです…」
強面なのに何だか優しい。それでも見た目のせいで私はうまく対応できなかった。