第14章 追撃す
珠世先生はしっかり説明をするよう求めた。
三人とも体育の授業をそっちのけで保健室に残った。
「が言うのを嫌がるのに、無理やりに聞き出そうとしてしまったことがあったんです。」
「…配慮が足りないからよそうと俺は言った。」
「すみません、俺が保健室にいるって言ったら胡蝶が飛び出しちまって。」
「……そう…何のことか、想像はつきますが…」
珠世先生がちらりと私を振り向く。
多分、両親のことだと思ってるんだ。
「……あの、私…。ごめん、うまく答えられない…。皆が納得する答え、出せなかった。ごめんね。」
私は笑った。
笑うのが楽だ。笑うと安心する。
「、そんな顔で謝るのはやめて。悲しいわ。」
「……。」
どうしたらいいんだろう。もうこの顔しかできない。笑う以外の顔って、どうするんだっけ。
教えて。誰か教えて。私、知らない。知らないんです。
「すまん。」
永遠に続くような静寂を破ったのは、冨岡くんだった。
「すまなかった。」
冨岡くんが真っ直ぐ私を見つめる。
揺らぎのない瞳。
「………。」
私はそれで全てを悟った。
「過ぎたことです」
そう返すのがやっとだった。
「…大丈夫。きっと教室に戻るわ。」
「……本当?」
「うん、きっと。」
私がそう言うとカナエは喜んで笑ってくれた。
「……」
実弥は始終私と冨岡くんを無言で睨み付けていた。何かあると思い込んでいるようです。実際、あるのですが。
「皆さん、この話しはまた放課後にじっくり聞かせてもらえますか。さすがに二時間連続で授業を休むように言えません。」
すると、珠世先生が時計を指差して言った。
「はい、わかりました。」
「放課後にまた来ます」
「……はい」
三人は立ち上がり、カナエだけ私に手を振り出ていった。
「霧雨さん、話を…」
「…すみません、珠世先生。頭痛いので、しばらく寝ても良いですか。」
先生の話を遮り私はそう言った。さっきからずっと笑っているし、仮病だってことはわかっているだろう。
「えぇ、どうぞ。」
先生は笑って答えてくれた。