第14章 追撃す
きつい。さすが一週間分。
昼休みになって、おばあちゃんが作ってくれたお弁当を開けた。
小さな手紙があって、『頑張って』と一言だけ添えてあった。
「……先生、私の父さんと母さんのことって聞いたんですか?」
私は、昨日の晩ご飯何?くらいのテンションで尋ねた。
が…向こうは多分重くとらえた。
「はい。……聞きましたよ。」
先生の表情でわかった。やっべぇ。これが俗に言う地雷踏んだ?あ、違うか。珠世先生から見たら私が自分で踏んだやつだ。
「どう思いました?」
私からしたら大した問題じゃない。
「霧雨さん」
「……」
先生の顔が怖くなった。
「どう思うとかではないんですよ。皆はただ、あなたが心配なんです。」
「……じゃあ先生」
私はつい勢いに任せた。
「父さんと母さんは私を心配していますか」
先生の顔が、いつもの優しい顔に変わった。
「霧雨さん、きっと……あなたも愛がわかります」
「……愛」
初めて声に出したかもしれない。
思えば、誰かに愛されてるとか、誰かを愛してるとか…考えたことないかな。
「……それなら、父さんと母さん、私を愛してなかったんですね。」
「…いいえ。愛していていますよ。きっと…霧雨さんのわからない、心のどこかで愛していています。」
先生が優しく微笑む。私はお弁当に目を落とした。
…いけない。私、保健室に閉じ籠ってるのには他の理由があるんだった。
「……先生、私、実はね…」
なぜ不登校になっているのかという理由を話そう…と、した。
「すみません、失礼します…!」
「あら」
「ぶっ」
私は紅茶を吹き出すところだった。カナエだ。まさかの登場に私は逃げた。
…が、こんな狭い部屋でどう逃げようか。
珠世先生のデスクの下に潜り込んだ。