第12章 かすがい
「別に遊びで聞いてるんじゃねえ。俺たちはあんたのことを真剣に理解してえんだ。」
宇随くんがいった。
「理解?」
「そ。」
一気に緊張の糸が張り詰めた。
「だから私の死を詮索するのですか」
「あんたは本当に鬼と戦って死んだのか」
冨岡くんだった。
それを聞いたのは、彼だった。
「……何が言いたいのですか」
「……答えろ」
「……そうですよ」
「……嘘だ」
「……」
私はぎゅっと拳を握りしめた。
そうだ。冨岡くんは…。少なからず、知っていたはず。私が死んだ日、彼は…!!
「もう…私、帰ります」
「…!知りたいの、仲間だから、あなたのこと…!あなたは…どうしてそんなに自分を」
______________隠そうとするの?
カナエの言葉は胸に突き刺さる。
隠す?
えぇ、隠すの。
全て隠す。
笑顔の裏の醜い感情に気づかれるのは嫌。
全部。
全部。
隠して、隠して、隠して。
見つからないように。誰も見つけないように。
「うるさい!もう関わんないで!!」
「ッ!!」
私は美術室を飛び出した。
追ってくる気配はなかった。
隠して、隠して。
私の秘密は、私だけのもの。