第6章 美しい悲劇
頭痛が収まった私はとりあえず服を身につけ、穿けなくなってしまった下着と汗ばんだ肌をどうにかしたくて、三日月にお礼を言い、風呂へ行くことにした。
清光いるかな?
途中清光と安定の部屋の前で止まり、声を掛けたが、反応がない。
ひょっとしたらみんな今昼食中?
私が来ていることも伝えていないしまた食べ損ねるかもしれないけど、ある意味絶好のお風呂チャンスじゃない?
そう気づいた私は、審神者部屋まで下着を取りに行き、ひとり風呂場へと急いだ。
やっぱり誰もいない!
脱衣所には誰かが入浴しているような気配はない。
この露天風呂を独り占めできるの初めてかも!!
いそいそと服を脱ぎ、もちろんタオルで隠すこともなく、堂々と風呂場への扉を開けた。
小狐丸に遊ばれてしまった汗ばんだ身体をきれいに洗い流し、お湯の中へ。
「あー、最高だ」
幸せすぎる。
ありがたい。
私専用の入浴時間作ってもらおうかなぁ?だけどそれは命懸けで闘っている男士たちに申し訳ないか。
ほんの少し痛む腰を擦り、風呂の中では身体を伸ばす。
ほんっと付喪神様たち絶倫。
今思えば清光が可愛いくらい。多分いろいろ緊張とかしてたんだろうなぁ。それなのにあんな…。
そういえば清光と最近キスしてない。あの一度以外そういうことにもなっていないし。
てか私は清光とキスとかしたいのかな?
いやいや、あれだけ甘えてベタベタされてたのがなくなったからちょっと物足りないだけ、だよね?
そう言い聞かせながらぼんやりと景色を眺めていると、脱衣所が賑わい始めた。
やば…誰か来ちゃった。
どうしようかな、なんて悩んでいるうちに扉が開き、
「あ、主!?」
速攻で見つかってしまった。
「ごめん、歌仙さん」
もちろん私は振り返ることなんてできない。
「入ってたのかい。それは失礼した」
出ていこうとしてくれているのだろう歌仙に、
「一緒に入っちゃえばいいんですよ!」
聞こえてきたのは堀川の声。
「主と、か?」
「そうですよ?ねぇ、主さん。いいですよね?」
ダメとは言えない。
黙って勝手に入ってたのは私だ。
「も、ちろん」
答えると、
「ボクもいいんですか?」
物吉の声もした。
厨当番のお風呂タイムだったのか。てことは、
「僕たちも入るよ?」
気づけば湯船の中には光忠と山姥切もいた。