第5章 jackal
短刀くんたちを見送り、夕食の準備を手伝い、出迎えて無事を確認し、食事をとったあと私はひとり審神者部屋に戻った。
今日の出陣結果をまとめて、資材や資金の確認と計算なんかをしていると、
「主、いいか?」
声がかかる。
「どうぞ」
鶴丸の声だなと思いながら返事をすると襖が開き、声の主と光忠、一期、そして大般若が入ってきた。
「今日は男前イケメン太刀の会だ」
手には昨日渡した朱いパック酒。
「3人の男前と鶴?」
「俺も男前!!」
私と鶴丸の会話に光忠が噴き出した。
「鶴丸殿、イケメンとは?」
聞いた一期に、
「顔面偏差値の高い男だと薬研が言っていたぞ」
答えながら座り始めるもんだから、慌てて広げていた書類を片付けた。
「どうせあんた今日は晩酌に参加せずに帰るつもりだったんだろ?まだ時間があるんなら付き合っちゃくれねぇか」
大般若が言い、私は頷いた。
「あんた昨日はよく頑張ったな。今日もみたいだが」
腫れた目元に触れなぞる。
「さー呑もうぜ。このままじゃ俺たちまで大般若の男前に酔わされそうだ」
光忠が持ってきてくれていたお猪口とおつまみ。
鶴丸が楽しそうになみなみと注いだ酒を、全員で一気に流し込んだ。
「やっぱりいいねぇ、あんたの呑み方。俺は好きだなぁ」
「大般若殿はよくそんな歯の浮くような台詞を軽々と言えますね」
私には無理です、と私の隣に座っている一期は追加された酒をちびちびと呑みながら言った。
「一期くんも言ってみたら?」
「私はいいです。別の方法で主を悦ばせてみせます」
「なんだか一期の言い方やらしいな」
驚いた、と鶴丸。
「ねぇ伽羅さんは?」
いつも一緒なのに、と気になって聞くと、
「今日は太刀の会だからな」
「てのは鶴さんのこじつけ。伽羅ちゃんいたら主、身構えちゃうでしょ?だから逃げて来たんだよ」
「そっか」
その優しさもなんだか嬉しかったが、
「でも私、伽羅さんの言ってる意味も判るし私はもっと伽羅さんと仲良くなりたいんだよね」
なんだか気を使わせてしまって申し訳ない。
すると、
「だってよ伽羅坊!」
鶴丸が言いながら襖を開けると大倶利伽羅が姿を見せた。
「だから俺は馴れ合うつもりはないと何度言ったら…」
「とかいいながら主が気になってついてきちゃうあたり伽羅ちゃんもオコサマだよね」