第5章 jackal
「君は昨日鶴丸さんにかなり酷く抱かれているんだよ?」
「ぁ…」
てか酷くって、どういうこと?
「なんともないわけがないだろう?昨日の本丸はあり得ないくらいの力が満ちていたんだ。加州さんのときとは比べものにならないくらい。それがどういうことを意味するか、そちらの方面に疎い私でも判る」
確かに鶴丸に比べれば石切丸は奥手に見えるけど。
「別にそんなに酷いことは…」
先日から思っていたが、なぜ毎回石切丸に情事の報告をしなければならないんだ。
正直やはり恥ずかしくて死ねる。
「本当なのかい?何度も気を遣らされたんだろう?」
奥手の割にはストレートな物言いだな、なんて困惑していると、
「眠い、以外の症状はないのかい?」
純粋に私の身体のことを心配してくれているようだった。
「はい。今のところはなんとも…」
思い当たる症状は全くない。
「それならそれでいいんだけれど…」
「はぃ…でしたら私はこれで」
全員ではないが和泉守に言われた通り男士たちに顔を見せれたし、清光とのわだかまりも解け、石切丸の診察のようなものも終わったようだ。
そろそろ戻らないと娘たちが目覚めるかもしれない。
「帰るのかい?」
「はい。子どもたちが昼寝をしている隙に出てきたので」
理由を告げると、私の手首を掴んだ。
「今夜また短刀たちが池田屋に行こうとしている。たけど今君が帰ってしまえばその加護は得られないまま行ってしまうことになるんだ」
どういう意味かは判るよね?と聞いてくる。
「…大怪我を、してしまうかも…」
「そうだ。だから申し訳ないのだが、私とお願いできないだろうか」
石切丸はまっすぐに私を見つめてそう言った。
「石切さん…?」
「私に、君を抱かせてくれ」
そう言って掴んでいた手首を引き、私を広い胸に抱き寄せる。
「あの…」
「拒まないで欲しい、と言ったはずだけど?」
そう言うと石切丸は私の唇を塞いだ。
石切丸は私に口づけたまま静かに畳へと押し倒す。
私に体重を掛けながら優しく頬を撫でた。
しばらく優しく口づけを繰り返され、私の頭が少しぼんやりとしてき始めた頃、
「私の着物は夏場暑くて困る」
言いながら少し身体を起こし、慣れた手つきで脱ぎ始めた。
そしてあぁそうか、私も脱がなきゃと服に手を掛けると、それを石切丸に止められた。