第4章 解けない魔法
無事帰ってきた短刀くんたちをみんなで称え、食事を食べ終えたあと、わらわらと晩酌を始める男士たちが集まり始める。
酒に興味のない短刀くんたちは風呂へ。
お酒よりもやりたいことがある男士は部屋へと立ち去っていった。
いつもこんな感じで晩酌が始まるようだった。
「ねぇ、今日は私も混ぜてくれないかな」
晩酌中心メンバーっぽい陸奥守と長曽祢に声を掛けてみた。
「おー!今日はおんしも呑めるがか!」
「いいぞいいぞ。是非また酌み交わそう」
笑顔で受け入れてくれた。
じゃあ私も審神者部屋から差し入れのお酒を持ってこようかな。
たくさんあるから誰か手を借りたい、なんて視線を巡らせると清光と目が合った。
「清光、ちょっと部屋にお酒とりに行きたいから手を貸して欲しいんだけど…」
「えーやだ。重たそうじゃん」
爪を眺めながら拒否してくる。
「てか今日主も呑むの?」
若干迷惑そうな顔をする清光。
私としてから清光は少しよそよそしい。
あまり前のようにベタベタしてこなくなった。
「じゃあ清光には頼まないよ」
ひとりで何往復かしようと広間から出ると、
「主、力をお貸しましょう」
一期がついてきてくれた。
「ありがと」
「いえ、弟たちを信じてくださったお返しです」
審神者部屋の押し入れを開け、奥の方に置いておいた段ボール。
引きずり出すと一升瓶が数本と、パック酒、白ワインなんかが見えてしまった。
「主?まさか…」
一期は絶対何か勘違いしてる。
「今日のために用意したんだからね!ここにきて昼間っから呑んで仕事してるわけじゃないからね!」
酒豪主のレッテルを貼られたせいで、なんとなくそういう目で見られている気はしていた。
「さすがに一度じゃ無理かな」
「平気ですよ」
言ってくれたので段ボールの中のパック酒と洋酒を別にあった布袋に詰め替えそれを私が、段ボールに残った一升瓶を一期が運ぶことになった。
「主はさきほど弟たちの前で泣いたそうですな」
「ごめん、一期さん差し置いて母親の感情が沸いてきちゃって…」
一期からすれば不快だったのかもしれない、なんて不安になりかけたが、
「ありがとうございます。主が泣いてくださらなければ私が泣くところでした。お陰で兄としての威厳が保てます」
彼は笑ってくれた。不快ではなかったようだ。よかった。