第4章 解けない魔法
「ではとりあえず主、短刀たちに許可を出しに行こうか」
三日月の言葉に矛を納めた石切丸が私の手をとり立ち上がる。
「小狐も参りましょう」
立ち上がった小狐丸が反対の手をとった。
「ははは。よきかなよきかな」
三日月は満足そうに持っていた扇子を広げ扇いだ。
広間につくともう戦闘服に着替えた短刀くんたちが揃っている。
そしてそのひとりひとりに近侍の一期が声をかけていた。
「主!」
私を見つけた愛染が声を上げると、他も一斉に私に駆け寄ってくる。
その勢いに石切丸と小狐丸は手を離してくれた。
「京都市中、行ってもいいか?」
「俺たち自分の実力試してみたいんだ」
厚と薬研が聞いてきた。
「うん。お願いね。頑張って」
返した私に安堵の表情をみせる短刀たち。
「装備に不備はない?私帰ってくるまで待ってるから、心置きなく戦ってきてね!」
そう言うと、みんなが笑顔になった。
「じゃあ行ってくる!」
「大将いい報告待ってろよ!」
そう言って出陣していってしまった。
「…弟たちは随分と強くなりました」
一期が感慨深く呟く。
そんな一期の肩を一度ぽんと叩き、私は夕食の手伝いをしようと厨に向かった。
「主さん、来てたんですね」
声をかけてくれたのは堀川。
「私今日夜までいるから手伝わせて?その代わりご飯食べさせてね」
言うと、
「オーケー。人手が増えるのは助かるから大歓迎だよ」
光忠が了承してくれた。
「あとね、光忠」
「なんだい?」
「今日またみんなでお酒呑めたらなぁって思ってて、おつまみも作ってくれないかな?」
お願いすると、
「構わないよ。だけど少しここがざわついて複雑な気持ちだから」
と胸を叩いて、
「キスしてもいいかい?」
顔を近づけてきた。
「っっ…」
「正当な報酬だろう?」
そう言って私の唇に触れる光忠の唇。
思わず目を閉じて受け入れてしまった私に、
「主さーん!僕もおつまみ作るんでしてくださーい!」
見ていた堀川が言った。
光忠が唇を離した直後、堀川が私を引き寄せ唇を重ねてくる。
唇をついばむように動かし、最後ちゅうっと音を立てて離した。
「堀川くんっ!!?」
「主さんの唇柔らかーい」
そう言ってもう一度短いキス。
かわいくてまた胸がドキドキし始めてしまった。