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夢より素敵な 3.5次元

第3章 mistake


「ちょっと主!どこで寝てるの!?」

安定の声がした気がして目を開けようとしたが、駄目だ。眠い。

「おーい、主ー」

聞こえてる?と肩を叩いたり身体を揺すったり。

「どうしたんだい?」

今度は石切丸の声がする。

「報告にきたんだけど主が部屋の入り口で寝てて…」

そうか私は入り口で寝てるのか。

てか安定…報告…ひょっとして帰ってきてる?

あーお迎え…また…。

起きなきゃ、とは思うけど動けない。

「せっかく今日はいい報告ばっかりできると思ったのになぁ」

「とりあえず布団に寝かそうか」

その直後、私の身体が浮いた。

「布団ないよー?」

押し入れを開ける音がした後安定が言う。

「そうか」

すると石切丸は私を抱えたまま歩き始めた。

「どこ行くの!?」

「私の部屋だ。私の布団を使うよ」

そこまで聞いてまた酷い睡魔に襲われ意識が保てなくなってしまった。




漸く目が覚めた私は、知らない部屋で。

そういえば意識が飛ぶ前に石切丸の部屋に行くとか言ってたような…。

身体を起こしてまだすっきりしない頭を働かせようとしたが。

「起きたのかい?」

声が聞こえ視線を巡らせると、予想通り石切丸がいた。

「ごめんなさい、私…」

「すごく眠たいのだろう?」

小さく溜め息をついた。

「だからやめておいた方がいいと何度も…」

私の傍に寄り頬をそっと撫でた。

「身体は平気かい?」

「はい。眠いだけです」

「相手は加州さん、で間違いないね?」

「…はい」

石切丸には全部お見通しのようだ。

「主の気のブレにはっきりと気づいたのは私と小狐丸さんと三日月さんくらいだと思うけど…」

「鶴さんも気づいてました」

「そうか。さすがに鶴丸さんも気付いていたか。彼も主にはご執心のようだしね」

石切丸は顎に手を当て少し悩む。

布団の中だというのが居心地悪くなり、抜け出して正座をした。

「このことは本丸の維持のためには必要なことだと思う。君がいないときは手入れが必要となる男士も多かったし、何よりずっと空気が澱んでいてね。主が玄関を開けたとたんそれがパッと消えてなくなるんだ。まぁ、そのことも私と、あと数人くらいしか気づいてはいないだろうけれど」

石切丸がゆっくりと言葉を選んでいく。
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