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夢より素敵な 3.5次元

第3章 mistake


「これ切ればいい?いちょう切り?半月切り?」

茄子をまな板に置きながら包丁を手にとると、

「主、刃物苦手なんじゃないのかい?」

光忠が驚いた顔をする。

「刃物は苦手だけど、包丁は使えるよ。主婦だし…」

あとカッターナイフとハサミは大丈夫だよ、と笑うと、

「そっか。そうだよね」

苦笑しながら目尻を下げた。

「ただねー、やっぱり刀は怖い。博物館とかでガラス越しに並んでるのを観に行ってみたりしたけどもう…」

思い出すと首周りがむず痒くなる。

審神者になって刀の勉強くらいきちんとしなきゃ、と休日に子どもを連れ観に行ってみたこともあるのだ。

「…でも少しずつ興味は出てきているから、そのうち見せてねって頼むかも」

「そのときは僕でよければいくらでもお見せするよ」

とりあえず半月切りで、と光忠。

朝ごはんは茄子と油揚げの味噌汁もあるようだ。そして私は味噌汁担当。

しかし約40人分って多いな。

給食のおばちゃんの気分になってくる。

「今日はどのくらい居られるの?」

となりできゅうりを浅漬けにしながら光忠が聞いてきた。

「…割と夜くらいまで」

気まずいながらも小さく返すと、

「そう」

悟ったのだろう、少し力なく返してくれた。

私もそれ以上は何も言えない。

何を言っても事実は変わらない。

歌仙は魚を美しく捌いていた。




「今朝の味噌汁は主作だよ」

起きてきた男士たちにいちいち言う光忠。

お願いだから妙なハードルを上げないでくれ。

「主おはよう。元気になったか?」

「三日月さんおはよう。ご迷惑おかけしました」

「いやいや。俺は主が主であればそれでいい」

三日月は相変わらずだ。

だが、あとに続いた石切丸と小狐丸は少し複雑そうな顔をしている。

挨拶はしてくれたけども。

清光とはしてしまったけど、やっぱり神とどうにかなるものではないよね。

石切丸はあのとき言いづらそうだったし、否定的だった。

やはりおとなしく細切れ勤務のほうがよかったのかな、なんて気落ちしかけていると、

「主おはよう。今日は畑にこれるのか?俺は当番なんだが」

鶴丸の明るい声が降ってきた。顔を上げると大倶利伽羅もすぐ後ろにいた。

「おはよう鶴さん伽羅さん。今日は畑、行くよ」

「そりゃ良かった。収穫できるものが多すぎて手が足りなくて困ってたんだ」
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