第3章 mistake
翌朝。
重い頭で目が覚めた。
二日酔い、というのには少し軽い。
頭は痛くない。気持ち悪さもない。
ただ、まだ酒に酔っているようなそんな感覚。
ぼんやり、といった感じか。
重い身体を無理やり起こして、キッチンに向かい水を飲んだ。
今朝も既に暑い。
昨夜のことは忘れてはいなかった。
ちゃんぽんせずにシンプルに日本酒だけを呑んでいたから、というのもあるのだろうけど。
同衾を清光の言っていた言葉で捉えるとすれば、多分男士の誰かに抱かれれば審神者力が高まり滞在時間が伸ばせる、そういうことなのだろう。
小さく溜め息をついた。
意味はわかるのだ。理解だってできている。
だけど…。
朝食を作りながらぼんやりと考えていた。
今日はプライベートでの予定を入れてしまおう。
逃げる言い訳にしてしまうのは心苦しいが、出陣計画も多分大丈夫だろう。
昨日のように三日月とかが組み替えて好き勝手やっているかもしれないし。
石切丸は2、3日に一度でも大丈夫だと言っていた。
今までだって土日は休みだったわけだし、彼らが消えてしまうことはないだろう。
いつもなら行けない日があれば前日までにその旨を近侍に伝えておくのだけど、そういえば今日は言ってない。
無断欠勤、になるのかな、なんて考えながらも、どうしてもあちらに行くことが怖かった。
どこかで多分もう逃げられない、と感じているのだろう。
前に聞いた薬研たちからの話は、私なりに噛み砕いて、不倫にはならない。だけども積極的にするものではない、というところにまでは落ち着いていた。
とにかく今日は行かない。
そう決めて、仕事が休みの夏休みの一日を過ごすことにした。