第3章 mistake
結局昨日は本丸には向かわず日が替わった。
感情とかは少し落ち着いてきていたのだが、いつも起きる時間よりも四時間近くも早く目覚めてしまった。
もちろん我が家は誰一人起きてなんかいない。
そういえば清光泣きそうな顔をしていたな。
思い出されるのはそんな表情ばかり。
ーー会いたいな。
そう思った私は、自分の感情に素直に行動してみよう、と顔を洗い、化粧を済ませ、着替えをした。
ちょっとだけ。様子を見に行くだけ。
そう言い聞かせながらクローゼットに脚を踏み入れる。
本丸の玄関を開けると、こちらもまだ真夜中らしく、真っ暗だった。
さすがに誰も起きていないようだ。
ほんの少し安心しながら、できるうちに出陣計画の見直しでもしようかな、と審神者部屋に向かった。
途中縁側から見上げた空には星がたくさん輝いていて、気持ちを落ち着かせてくれた。
審神者部屋の襖を開け、中に入ると何か気配を感じる。
誰もいないはず、なんだけど、と暗闇に慣れ始めている目を凝らすと、部屋の真ん中には布団が敷かれ、膨らみがあるように見えた。
誰だろ…。
少し怖いけど、知らない人ではないだろう。
確認しようとそっと近づくと、布団がごそっと動いた。
そして、
「え…主?」
目を開けたのは清光だった。
「どう、して?」
「…早く目が覚めたから早出で仕事しにきたの。昨日来られなかったし…」
言うと、
「そうだよ!心配したんだからね!出陣も内番も主が決めてくれてた分があったから滞りなく済んだけど!」
布団を剥がし、浴衣姿の清光が身体を起こした。
「どうしてここにいるの?」
聞いたのは私。
「それ…は…」
少し俯いて目線を落とした。そして、
「…寂しかったんだよ。ここにいれば主を感じられるかなって、安定寝たあとこっそり来て寝てた」
「ごめん、ね」
清光は私をこんなにも好いてくれているのか。
こんな子を泣かせてしまうなんて私は酷い審神者だと思う。
清光の前に座り、頭を下げた。
すると、
「もう俺我慢しないから。主に会えないのツラいし。嫌われたっていい。てか主は俺を絶対嫌わない。だから俺から主への好きだって、愛してるって気持ち全部ぶつけるね」
いつもよりも少し低めの声で清光がそう言いきったかと思えば、次の瞬間私は布団の上に仰向けに組み敷かれていた。