第2章 ユメひとつ
今日は誰が出陣してるんだっけ?
タイミングが合わずお出迎えもできないことも多い。
悩みながら廊下を歩いていると、玄関の方から賑やかな声が聞こえてきた。
どこかの部隊が帰ってきたんだ!
少し駆け足ぎみで向かうと清光率いる第一部隊が帰還したようだった。
「お帰りなさい。みんな無事?」
「ただいまー、主」
赤と黒の戦闘服を翻し私に抱きついてくる清光。
「みぃんなびっくりするくらい無傷だよ」
「それは良かった。お疲れ様です」
「土産もありますよ」
小狐丸も声を掛けてくれる。
今日の第一部隊は、清光、小狐丸、鶴丸、蛍丸、光忠、それから一期だったようだ。
やけに太刀が多い気がするが。
「誰が決めたんだっけ?この部隊」
私も最近は細切れ勤務なものでいつ、誰と決めたものか記憶が曖昧だ。
「俺が組み替えた」
ははは、といつの間にか後ろに来ていたらしい三日月が笑う。
「朝になったら変わってた」
蛍丸がそう言って通過していった。
なるほど。確か一期と蛍丸は他の部隊長だったはずだもんなぁ。
「主、部屋で仕事しよう!時間あんまないんでしょ?」
ぼんやりしている私の手を引いて清光が審神者部屋に向かい始めた。
そうだった。長居せずに戻らないと。習い事行かせてる間に出てきたんだった。
「とりあえず報告ー」
刀を脇に置き、正座をして話し始める清光。
無事に記録をつけ終えたところで、清光が脚を崩した。
そして、
「主おいでー」
胡座の上に座るように手招きをする。
素直に膝歩きで近づくと、正面から抱き寄せられた。
さすがに正面から清光の膝には跨がれなかったけど。
「疲れてない?」
「んー、ちょっと、かな」
「俺で癒しになる?」
耳元で優しく響く清光の声。
「なるよ。ありがと」
少し身体を離して見つめると、ふっと清光が目を閉じた。
目を閉じても綺麗だなぁ、なんて思いながらその顔を眺めていると、
「ん!」
しびれを切らしたように少し顎を上げてきた。
まさか、おねだりされてる?
「はい」
人差し指と中指を揃えて清光の唇に押し付ける。
するとパッと目を開けて、
「主!!」
緋い瞳で見つめてきた。
吸い込まれそうな目。
うまく反らすことができない。
「キスしてほしいなー」
甘えるように言ってきた。
「…」