第20章 Don't worry,don't worry
その晩、無事に私の元へ戻ってきた石切丸と夜を共にすることになった。
まずはお風呂だ。暫く入っていないだろう。
「背中流します」
私の部屋の風呂場で石切丸の背中を擦った。
「あぁ、心地よいね」
広い背中を擦っていると、また涙が滲んでくる。
「良かった。おかえりなさい」
泡だらけの背中にピタリとくっついて抱き締めると、
「慧さん、それはダメだろう?」
腕を離させようと握ってきた。
「ゃだ。離したくない」
石切丸の胸板に掌を這わせて首の後ろに口付ける。
「慧さん?」
「石切さんありがと」
もう一度強く力を込めて離した。
そして泡だらけの背中を流し、湯船に浸かるように促した。
私も身体を洗い流して石切丸の隣に滑り込む。
「今日は遠慮なく抱いてもいいのかな?」
コクリと頷くと、私の左手をとり薬指の指輪に口づけた。
「私がいない間はどうだった?」
「昼間はずっと清光でした。ありがとうございます」
「あぁよかった。ちゃんと伝わっていたんだね」
「けど…」
今日のことはきちんと伝えておくべきだろうか。
「今日は私が出陣計画を立てるのを失敗して、清光の帰還が間に合わなくて」
ぽつりと溢した言葉を、
「だから薬研さんか」
石切丸が拾った。
「偶然傍にいてくれたので…」
「ひょっとしてあの薬を?」
「…はい。薬研には申し訳ないことをしました」
薬は本当によく効いてくれた。だから私は快楽の沼に落ち痛い思いはしなくて済んだけど、その後の罪悪感が凄くて。
「飲んだのは慧さんの意思?」
聞かれて首を横に振った。
「薬研さんが自発的に飲ませたのであれば慧さんのせいではないよ。気に病まないでいてあげたらどうだい?それに薬研さんもこちらの仲間入りをしたのであればまたそういった機会もあるだろうし」
そうだ。薬研には全てバレてしまったのだ。
また抱かれる日がくるのだろう。
「慧さんと関係を持つと、無意識に慧さんのいる場所に集まってしまうのかな?今日も呼んだ訳ではないのだろう?」
「はい」
気づけばみんな集まっていた。以外のひとはいなかったし。
「あんな風に楽しそうだと出ないわけにはいかないよね。まさに天の岩戸だったよ」
「なんですか?それ」
判らない。