第20章 Don't worry,don't worry
「まぁ負けるよね」
にっかりは私に抱きついたまま食事を摂り始めている。
「そりゃそうだろ。俺たちなんたって男前イケメン太刀の会だからな!」
鶴丸が親指を立てながら言った。
「あぁ、3人の男前と鶴の会!」
「俺も男前!」
やりとりに光忠が吹き出す。
「なんだそれは」
食いついたのは三日月で、
「太刀の会なら私も入れてください」
小狐丸が言う。
「以前ね、慧ちゃんの部屋で呑んだときのメンバーなんだ」
「あの頃から慧は泣きまくりのブレブレだったがな」
大般若が私にもお酒を差し出してくれた。もちろん専用のお猪口で。
「あれいつだったっけ?」
「あー…加州と慧の痴話喧嘩の翌日か?」
光忠の質問に鶴丸が答えた。痴話喧嘩って…。
「あんときも慧の気がどねぇのって話したよな」
「そうでしたね。とても温かく包む気をあの日感じました」
一期が懐かしそうに目を細めた。
「いち兄?」
「あぁ、つい懐かしくなってしまって」
少し顔を赤らめた一期を見て、
「そうだ、一期くんが慧ちゃんにキスしたとか言ってたんだ」
光忠がぶっちゃけ、更に一期は赤くなり、薬研がニヤリと笑う。
「今だから聞こう。あの日のあの気は誰なんだ?」
鶴丸が皆に問ったが、誰も反応がない。
「…慧?」
「…石切さん、だったの」
ぼそりと言うと、皆が納得したような声を上げた。
「やっぱ容量が凄いんだな、あのひとは」
「まぁ、三条の中でも大太刀と呼ばれる神刀ですしね」
「俺らも早く会いたいものよ」
小狐丸と三日月も懐かしそうな顔をした。多分このひとたちは判ってたはずだ。
「しっかしすげえな。特にこのメンバーで萎縮しない慧とか、笑う三日月とか」
「そうだよねー。最近三日月怖くなくなったもん。じじいとして丸くなった?」
清光が茶化すように聞く。
「じじいは慧に骨抜きにされたのだ」
はっはっはと高らかに笑う三日月。
「三日月殿は毎日楽しそうですもんね」
「楽しいぞ。戦をし、勝利を収めて戻れば慧が迎えて労ってくれるのだ。これ以上の楽しみがあるか?」
三日月の目が優しく私を見つめてくる。
「慧も最近は俺を怖れなくなったからな。嬉しいものよ」