第20章 Don't worry,don't worry
「俺も誰かは教えて貰ってなかったんだけど…」
清光は言うが、にっかりの推理と私の言葉で判ってしまったのだろう。
「マジかぁ…」
溜め息を吐いて大般若から受け取った酒を呷った。
「一期さん、石切さんが戻ったら私は覚悟、出来てます」
言った私に、
「なりません!」
小狐丸が腰を上げ掛けたがそれよりも早く一期の両手が私の頬を包んだ。
「なんの覚悟ですかな?」
「私とんでもないことを…」
「身体は大丈夫でしたか?」
私を気使う言葉。
「あのコはここにいる方々のように気を使えなかったでしょう?」
言われたが、
「大丈夫です。お陰で私まだここに居られるので。私の方こそ申し訳なくて…」
あの状況下。無理矢理抱いて貰ったようなものだ。
他に選択肢はなかった。そこへ、
「あんたら何やってんだ?こんなとこで。石切丸待ちか?」
通りすがった薬研。
鶴丸と小狐丸、そして気のブレが判らないという清光と光忠の顔が歪む。
「慧は悪くなかっただろう?」
そう言いながら大般若が薬研にお猪口を差し出し、受け取った薬研はあぐらをかいてそれを呷った。
「ははっ、もうバレてんのかよ」
困ったように頭を掻いた。
「すまないな加州。慧を泣かせちまった。俺じゃお前の代わりにはなれないや」
と笑う。
私が散々泣いていたのは知っているので、
「そうだよ!どうしたらああなるの?大変だったんだからね!?」
清光がキレた。
「そんでこのメンバーは何だ?妙な顔触れだが…」
言いながら見回す薬研。
「多分今思ったので間違いないだろうな」
三日月が言った。
「そうかよ。こんなに居たなんてな。てかいち兄までとは」
薬研が苦笑する。
「まぁ今日は薬研のお陰で慧さんを引き留めることができたようなので、お咎めなしとはいきませんか?」
一期が言い、
「誰が咎めるものよ。薬研、俺からも礼を言おう」
三日月も薬研を褒めた。
「な、慧褒められたろ?」
言う薬研は嬉しそうだが、
「今回だけだからね!?」
「次はないぞ!!」
清光と鶴丸が睨みを利かせる。
「そんな言うなって」
薬研が言い返した。
「なんだよ、揃いも揃って太刀ばっかじゃねぇか。そりゃ慧壊れるっての」
片膝を立ててお酒を呷る薬研。