第19章 Get your Dream
夕食は寝室に運んできてくれた光忠と、石切丸と3人で食べた。
「ごめんね、昨日のパフェのせいでこんなことになるなんて…」
清光に聞いたのだろう。
あの光忠が泣きそうな顔をしている。
「ううん、光忠のせいじゃないよ。止められてたのに勝手に出たのは私だし…」
「それに関しては三日月さんも反省していたよ。なぜもっと早く気づけなかったのかと。自分の行いが招いたと落ち込んでいたよ」
確かに今日の昼間は三日月だったけども遅かれ早かれそうなっていた。
いろんなことが要因だ。
茶室で私が言ったこと、鶯丸や蜂須賀に言われたこともそう。
鶴丸とひまわりを見ながら話したこともそう。
みんなの欠点を無理矢理作って傷付けたことも。
「今朝はごめんなさい。皆さんを傷付けるような発言をしてしまって…」
「僕たちは傷付きはしないけど、少しは凹んだよね」
光忠が笑った。
「まぁよくあそこまで全員を断れたなとは思うけどね」
「なんだかかぐや姫の気分でした」
私が言うと、
「かぐや姫?竹取物語のことかい?」
「たぶん、そう」
「ははっ、確かにあの話も月の姫が結婚の申し出を断るために無理難題を言うんだったね」
話の内容を思い出したのだろう光忠の表情が綻んだ。
「これからは慧さんのことをかぐや姫と呼ぼうか?」
「…やめてください。似合わないので」
膨れておかずを口に運ぶと、
「利き腕じゃなかっただけでもよかった、のかな」
光忠が慰めのように言った。確かにそうだ。
石切丸の話を聞いてから、とりあえず指輪はまた左手の薬指に収まっている。
「ねぇ、こういうのって身に付けるものしか効果がないの?」
食事を終え、指輪を見つめながら聞くと、
「そんなことはないよ。だから僕お猪口にしたんだし。それを使ってくれれば僕の想いは慧ちゃんに蓄積されていくからね。まぁ、まだ昨日の今日だったから微量だったんだろうけど」
「そうなんだ」
石切丸は私に痛み止めと水を差し出してきた。
「お酒、しばらく呑めないかな」
「んー、そうだね。今日、明日は薬研くんに怒られると思うよ」
光忠のお猪口使えないのか。残念だ。
「また、薬研くんの許可が出たら使ってよ。美味しいお酒用意しておくから」
「ありがと。楽しみにしてる」