第19章 Get your Dream
「どうしたらいい?」
「…判りません。私の気持ちが納得しない限りは」
明らかに考える時間が多いせいでもある。
「夜のではそれはないのかい?」
「そうですね。夜はそのまま長時間眠ってしまうのであまり考えずに済むというか整理がつくというか」
考える間も与えて貰えないほどに狂わされて溺れさせられて。だからもちろん不完全燃焼なんてなくて。
「そういえばね、薬研さんがこれを慧さんに、と」
何かの薬が入った包み。
「望まない行為の時に使えと言っていたよ」
「避妊薬ですか?」
「慧さん?」
私の雑なボケに対する石切丸の冷たい目。
「多分だが媚薬だろう」
「…これ、使うとしたらとても失礼に当たりますよね?」
ただでさえ付喪神様に迫られると媚薬に侵されたような効果があるのだ。
「まぁ、私のときに使われるとすれば少し…」
だよね。そうなるよ。これは。
「ところで昼間の行為、加州さんのときはなんともないのかい?」
考えたこととかなかったけど、
「清光のときにはなんとも…」
むしろ清光に助けて貰ってるような。
「やはり慧さんにとっては加州さんは特別なのだろうね。彼との行為ならば不安定にならないのだろう。…ならば、昼間はいつも加州さんにするかい?」
思いがけない提案に、
「いいんですか?…った」
勢いよく身体を起こしてしまったため走る激痛。
「大丈夫かい?」
「痛いですね、結構。私怖くて傷口見れてなくて、どんななのか判らないんですけど…」
「小狐丸さんから聞いた話だと、抉れていた、と」
おえー。まじかぁ。
露骨に顔を歪めた私に、
「こんな状態の君に性行為を強要するのもどうかと思うんだけど、あちらの世界にこの傷のまま帰すのも問題があるから…」
確かにこんな傷なんて説明していいものか…。
「ひと月もあれば傷口も塞がるだろうし、痛みも治まるだろう。普通に家事もできるようになるとは思うのだけど…」
ここにいろ、ということか。大人しく従うしかないだろう。
「しかし、昼間を加州さんだけにすると言ってそこまで明るい顔をされると複雑な気持ちだね」
石切丸が言ったが仕方がない。
清光ならば素直に受け入れられるのだから。
「このことを伝えると確実に反発されるだろうけども、どうにか通してみるよ」