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夢より素敵な 3.5次元

第19章 Get your Dream


もう苦しいんだ。

自分じゃどうにもならない感情。

どうにもならない身体。

「神様が慧ちゃんに、バチを与えると思う?」

清光に聞かれて頷くと、

「だとしたらその神様には俺がバチを与えなくちゃね」

涙を拭いながら清光が言う。

そんな風に清光と話していると襖が開いて、三日月と小狐丸が入ってきた。

「目が覚めたか?」

「はい。ご迷惑おかけしました」

身体を起こそうとしたが、それを止められ、

「まだ暫く寝ておれ」

力なく三日月が言う。

そして清光から先程私と話した内容を聞くと、

「なぜ満足できてないのに振りをした?」

「…せっかく気使ってくれたのをムダにしたくなかったんです」

言い返してやった。

「ねぇ三日月さん、私やっぱり」

「止めさせはしないぞ?言ったであろう?じじいの楽しみをとるな、と」

三日月の目は優しい。

「だけど…」

「よい。もう、その約束はなしだ。昼間も好きなだけ求めればよい」

「ですが三日月殿、そうしてしまえばまた薬研殿に…」

「あぁ、そうであった。薬研にはとられたくない」

自信に満ちていた天下五剣の表情が一瞬で曇る。

「先程も散々呆れさせてしまったからな」

「そもそも俺たちの慧ちゃんへの気持ちが強すぎるのがまずいんだよね?」

「まぁ、そうだな」

「んー…慧ちゃん俺と鍛練する?欲求不満の解消にも向いてることない?」

清光が提案したが、

「だめです!慧さんが柔らかくなくなります!」

小狐丸が却下した。

なぜ止めるという選択肢を奪うのだろう。

「慧どうにか痛んでも薬研には黙っておけぬか?」

「え…」

「おい。じーさん、聞こえてるぞ」

襖が開いて薬研が三日月を咎めた。

「あんたら最低だな。そんなに俺に慧を渡したくないか」

「ないな」

三日月が言い切る。

「慧は俺でもいいよな?」

傷の具合を確かめながら薬研が聞いてきた。

答えられずにいると、

「どうしたら慧の気持ちを俺にも向けてもらえるんだろうな。俺なら慧がこんなに傷付いて思い悩むまでほっとかないのに」

ぼそりとそう言って私の額を撫でた。

「短刀だってガキじゃねぇんだ。その気になったら言ってくれ」

そう言って出ていった。
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