第19章 Get your Dream
手当てが済んで、痛み止めも効き始め、私はそのまま目を閉じた。
端から涙が溢れた感覚はあったが、意識が遠退く方が早かった。
目を開けるとまだ審神者部屋で、傍には清光の姿。
「慧ちゃん!!」
「清光ごめんね。また、泣かせちゃったね」
目を真っ赤にしている清光に手を伸ばそうとしたが痛みに顔を歪めてしまう。
「なんで!?なんでひとりで町に出たの!?」
また涙を浮かべながら清光が言った。
「…ごめん。また逃げたくなったの。でもね、玄関から出ちゃうと同じことの繰り返しになっちゃうから、ひとりになろうと思って…」
こんなことになるなんて予想していなかった。
「また嫌なことあった?」
「…睡魔がね、直後じゃなくなったでしょ?だから妙なタイミングで眠っちゃうんだけど、なんだかみんなに迷惑かけてる気がして苦しくなっちゃって…。あと、昼間のはやっぱりキツい」
正直な気持ち。
私の身体を気遣ってくれるのは有難いけど、不完全燃焼が続くし、そのことについて思い悩む時間も出来てしまう。
「そっか…気付いてあげられなくてごめん」
「んーん。私の我慢が足りないだけ」
「違うよ?俺たちの気持ちを真っ直ぐ受け止めちゃったら、我慢だけじゃどうにもなんなくなるの知ってるでしょ?」
私の言葉を清光が否定した。
「…それでね、ひとりでパフェ食べに行ったの」
「っ!!」
清光が目を見開いた。
「昨日、俺たちが食べちゃったから…?」
「んーまぁそれもあるかな。ひとりで食べたらスッキリするかなって思って行ったんだけどね」
力なく笑うと、
「ほんとごめん。全部俺のせいだ」
清光の緋い目から涙が溢れ落ちた。
「小狐丸が昨日ひとりで行かせないって言ってたのはこういう意味だったんだね」
昨日の時点では知らなかった。
一昨日の夕方みんなで出かけたときも確か一期が護衛は多い方がいいと言っていた。
「ひとりで行くって言ってたの?」
「ん。昨日光忠と堀川くんにそう言ったら小狐丸に咎められたの」
「じゃあどうして!?」
「まさかそんな意味で言ってるなんて思わなかった」
小狐丸に内緒で出かけたから、くらいにしか思っていなかった。
「怖かったでしょ?」
「…怖かったけど、当然のバチかなって思った」
「バチ?」
「迷惑かけて、逃げ回ってたことのバチ」