第1章 プロローグ
「ごめん、なさい。みんなを、否定したくなかった。傷付けたくもなかったの。自分勝手だけど…」
正直に言うと、
「まぁ刃物って怖いよね?しかも真剣だもん」
「人斬るもんだしな」
「怖いくらいで丁度いいってね」
なぜか口々に私を肯定してくれる。
「今の姿の僕たちが怖くないんなら別に構わないですよ。僕たちこそ知っていてあげられなくてごめんなさい」
「あ、あの…」
「まぁ顕現されるときにやたらと震えてるなとは思っていたが」
なるほど納得、と頷いている。
「でもっっ」
「刃物が怖くても僕たちの審神者になることを選んでくれたんでしょ?それだけで充分だよ。主の前では刀を抜かないようにみんなには僕から伝えておくね」
そう言って光忠は机の上を片付け部屋から出ていった。
「あーもう、怒ってるの馬鹿らしくなってきちゃった」
「俺ももういいや」
そう言って安定と薬研が畳に寝転んだ。
ほんっと子どもみたい。喧嘩してすぐ仲直りして。
嬉しくなってしまう私に、
「みぃんな主のことが大好きなんだよ」
清光が言った。
「だから一生、愛してね」
とも。
そして私にも寝転ぶように促し、隣に清光も寝転ぶと、
「んーーーっ」
顔を近づけてキスをしてきた。
「ちょと、清光さん!?」
「清光、何やってんの!?」
「んー?だって主めちゃくちゃかわいいんだもん!素直な主は俺大好きだよー」
もう一度キスをしてぎゅうっと抱きしめてくれる。
「主は忙しいな、みんなに迫られて」
鶴丸は少し離れた位置から見ていて、
「いーなぁ、鶴丸さんも清光さんも。僕はダメなんですか?」
四つん這いになった堀川が私を覗き込んできたから、
「ダメとか、は、ないけど」
返すと、
「じゃー僕もっ」
清光の腕を剥がして今度は堀川に口付けられた。
「え!え?じゃあ僕も」
起き上がった安定に、
「安定はダメだよね」
「怖がらせちゃいましたしね、反省してもらわないと」
清光と堀川がNOを出して、
「えーひどーい」
膨れる安定。
「俺もまだだから安心しろ」
「安心とか意味がわかんない!」
薬研に言われ更にキレそうになる。
「ところで大将、風呂はいつ入ってくれるんだ?」
「おーそんときゃ俺もよろしく頼むぜ?」
「…また、今度ね」
今日はもう正直キャパオーバーだ。