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夢より素敵な 3.5次元

第19章 Get your Dream


「少し暑くなってきたね」

ひまわりを眺めていると陽がだいぶ高くなってきた。

「畑手伝いに行こうかな」

ぼそりと言うと、

「また逃げるのか?」

「なら一緒に行く?」

「もちろん」

そう言って私を抱き締める腕を緩め、自分の方に向かせた。

「涙、止まったな」

親指で頬に触れて確認すると、じっと見つめてくる。

金色のその瞳に映る自分を見たくなくて目を閉じると、鶴丸の唇が優しく触れた。

背中に腕を回され強く抱き締められる。そして唇を離したあと、

「何本か摘んでくか?」

聞いてくれたが、

「ううん、また来る」

「そうか。ならまた探しに来るとしようか」

そう言って私の手をとった。

鶴丸と畑に向かうと、そこには虎徹兄弟が居て、

「なんで俺が贋作と畑を…」

蜂須賀がぶつぶつ文句を言っている。しかし、

「あー慧!!」

浦島が私に気付き声を上げると、

「やぁ来たのかい?」

ころりと表情を変えた。

「浦島くん、メンバーまずかった?」

決めた手前責任を感じてそっと聞くと、

「んー蜂須賀兄ちゃんは畑当番があまり好きじゃないからねー」

教えてくれるが兄弟仲については聞いてくれるなと言ったところだろうか。

「慧、トマトがとてもキレイに実ったよ!おや、俺の帯留めを付けてくれてるのかい?やはり似合っているね」

大きなトマトをひとつ私に差し出しながら褒めてくれた。

「ありがと」

受け取ってそれに唇を近づけると、蜂須賀の表情が少し歪んだ。

「慧?」

「はい?」

かぶりつこうと口を開けたところで止められた。

「君は女性としてやはり少し足りないところがあると思う」

はっきり言われて口を閉じた。

蜂須賀は手を拭くと、鶴丸と繋いでいた手を離させ私の帯に手を掛ける。

「先程ので緩んでしまったのかな?歩き回ったのによくほどけなかったね」

先ほど薬研の治療で緩んでしまったらしい帯を手直ししてくれた。

「ごめんなさい」

「そんなに慧を責めなくてもいいだろう?」

鶴丸が庇ってくれようとしたが、

「どの口がそれを言うのか?」

睨みを効かせてきた。その表情すらも美しかったが。

「蜂須賀やめとけ」

喧嘩腰の蜂須賀を少し離れたところにいた長曽祢が止めた。

目が合うと優しく見つめ返してくれる。
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