第19章 Get your Dream
「…ぅっっ」
力をこめられ小さくうめき声を上げた私に、
「何?痛そう」
「なんか鈍い音がしたぞ?」
口々に言っている。
「った…」
「我慢し、ろっ」
またぐっと圧されて顔を歪めた。
「今日は、誰のせいなん、だ?」
「っっ言わ、ない」
「そうか、よ」
痛みの後に楽になるのを知っているから堪えられる。
「どうだ?」
言われて身体を起こした。
「ん、大丈夫。ありがと」
言った私に、
「本丸を守る代償が、ひっどい頭痛と睡魔と高熱に腰痛じゃたまったもんじゃねぇよな」
大声で薬研が言った。
その声にはどこか怒りが込められているようで、
「誰かは知らないが、慧にこんな思いさせるやつが旦那気取ってんじゃねーわ」
言い放った。
「最近俺んとこくるの毎日じゃねーか。やめちまえもう」
2日に1回程度なのをちょっと大袈裟に言った薬研に黙る面々と、様子を窺う男士たち。
「薬研、やめて」
止めた私に、
「あー?犯人探ししないと気がすまねぇ」
眼鏡の奥がキラリと光った。
「心当たりあるやつ、はい挙手」
薬研が言ったが手を挙げる男士はもちろん居るはずもなく、
「次慧が俺んとこ来たら俺が慧を抱くからな」
薬研が言いきった。
「文句あんならもう少し大事にしろ!」
言って私の頭を撫でて去って行った。
あ、やばい。かっこいいかもしれない。
きゅんとしてしまいながら、
「…薬研が大人になったら薬研と結婚しよっかな」
ぼそりと言うと、
「なんでだ?」
「おかしいって!!」
止まっていた空気が動き始めた。
「あーもう、どうせみんな俺のせいだと思ってるんでしょ?」
清光が溜め息をつくが、
「いや、清光さんじゃないひとでしょ」
「加州はそういう感じじゃなさそうだったしな」
堀川と厚が言った。
その言葉に清光の目が潤み、
「お前ら!!」
感動しているように見える。
「じゃあ誰かって話なんだけど…」
見渡すように言った安定だったが、
「犯人探しはやめようや。みんな仲間でみんな慧ちゃんが好きなんだろ?それぞれに大事にすりゃいいんじゃないか?」
後ろに立ち上がった長曽祢がそう言ってやめさせてくれた。
「っ…長曽祢さんかっこいぃ」
ぼそりと呟いたのは私だけではなかった。