第18章 Show Me The World
「同じようなことを三日月サンあたりには聞いたことがあるだろう?」
小さく頷くと、
「だからな、あんたが恥ずかしいと思おうがなんと思おうがこの本丸の男士たちはあんたに嫌悪感なんて抱かない。むしろ好きでいいんだ、愛していいんだって思える」
大般若の胸に耳を当てると鼓動が響いてくる。
「あんたと関係を持ってる側の男士から言わせてもらえりゃ誇らしいぜ?堂々と抱いて啼かせていいんだからな」
大般若の声に少しハリが出た。
「…だけど、みんなすぐ喧嘩するよ?さっきも清光と光忠が喧嘩してた」
「そりゃするさ。嫉妬はあるからなぁ。誰だっていちばんにはなりたいものさ」
ぎゅっと抱き締める腕に力を込めて、
「今回のこともまた慧の気持ちに添えなくてすまない。俺と鶴丸サンのことを忘れただろう?あのことがあってな、伝えることにしたそうだ」
「そう、ですか…」
「俺たちが慧の感情を無視した行為があのことに繋がったんだ。それも伝えれば無理に手を出す奴もいないだろう?自分の首を締めることになるんだからな」
少し苦しくなるその言葉。あのことは私が原因でもあるのだから。
「慧は悪くない。もう悩むな」
一瞬の気の変化を汲んだ大般若が私の背中を撫でた。
「…脇差と短刀くんたちに話してないのは?」
「純粋すぎるからだ。俺からしたら打刀の半数もどうかとは思うが。あいつらには加州だけだと思わせておいたほうが何かと楽だからな」
確かに私も短刀くんたちの表情を曇らせたくはない。
「すまないな、ほんとに」
「いえ」
理解するのは少し苦労したけれど、大般若と話してよかったとは思う。
「堂々としてりゃいい」
涙も漸く収まった。
「大丈夫だ。慧なら必ず受け入れて乗り越えられるさ。なんたって俺らの主だからな」
大般若はそう言って私を立ち上がらせると一度優しいキスをして厨にまで連れて行ってくれた。
「…ただいま」
なんて言って戻ればいいか判らずそう言った私に、
「お帰り慧さん」
歌仙が迎え入れてくれる。
大般若は手伝うつもりはないが見守ってくれるらしく壁に背をあてて腕を組んだ。
「慧さん、ごめん…」
堀川は私が先程大般若から聞いたのとほぼ同じ内容のことを山姥切や歌仙から聞いたのだろう、謝ってきた。