第18章 Show Me The World
「僕は何にしようかな。…君はお酒好きだから専用のお猪口とか」
ガラス製のお猪口をみつけた光忠が言った。
「わぁ、かわいい!」
「いつもみんなで回し呑みしてるのも気に入らないんだよね」
「燭台切さん、案外独占欲強いんですね」
堀川が突っ込む。
「僕は独占欲強いよ?正直に言えば加州くんよりも僕の方が彼女を好きだと思うし彼女を幸せに出来ると思ってる」
やけにはっきり言った光忠に、清光が顔を歪めて、
「ちょっと何言ってるか判らないんだけど?」
睨み付けた。
「ちょっと、こんなとこで喧嘩しないでよ!」
恥ずかしい。素直になってる光忠は男前なんて全くなくて。
「堀川くん、行こ」
言い合っている清光と光忠を放って歩き出した。
「待ってよ!」
清光たちが慌てて追いかけてきたけど無視だ。
「なんで怒ってるの?」
「こんなところで喧嘩するなんて信じらんない!恥ずかしい!」
言い放った私に、
「ごめん、つい」
「子どもじゃないんだから!バカな本丸だと思われちゃうじゃん」
敷地内ならまだしも、と言った私に、
「だけど周り見てくださいよ。みんなおんなじみたいですよ?」
堀川が周りを指差した。
そこには何組もの男士と審神者が居て、何人か連れているところなんかはうちのように口喧嘩をしていたり。
「どこの本丸もきっと主さんの取り合いなんだろうね」
堀川が言った。
「ま、うちの主がいちばんだけどね」
清光が言いながら後ろから私に抱きついてくる。
私がもう怒っていないのは判っているようだ。
「ねぇ、他の本丸でも清光さんと同じみたいな関係のひとっているのかな?」
「え!!?」
「えっちしてるのかなぁって…」
私たちにしか聞こえないくらいの小声でぼそっと言う堀川。
「聞いてきてもいいですか?」
「ダメ!絶対!!」
恥ずかしすぎて死ねる。
止めたが時既に遅し。
繋いでいた手をほどくと近くにいた別の本丸の男士の元へと走って行ってしまった。
「さすがの機動力」
光忠は笑っているけど、そういう問題ではない。
ちょっと逃げよう。
背の高い光忠の陰に隠れるようにしながら、堀川に背を向けると、
「大変ですーーーー!!」
大声で叫びながら戻ってきた。
あーもう恥ずかしい。本気で死ねる。