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夢より素敵な 3.5次元

第18章 Show Me The World


「慧、ご飯だよ」

どのくらい経っただろう。未だ冷めない熱と闘っている私をにっかりが迎えにきた。

「大丈夫かい?」

「大丈夫」

きっと食事をすれば落ち着く。

三大欲求の法則だ。食欲が満たされれば性欲が落ち着くはず。

立ち上がり着物をなんとか元に戻して口を濯ぎにっかりの後について部屋から出た。

「慧ちゃんっ」

広間についた私を見つけた清光が駆け寄ってきて抱き締めた。

「ちょっと歪んじゃったね。直そうね」

そう言って着物と帯を手直ししてくれる。

「清光…好き」

「ん、俺も好き」

広間の隅っこで着物を直してもらっていると、

「清光平気なの?そんな潤んだ目で好きって言われて。僕だったらおかしくなっちゃうよ」

安定が見ていたらしい。言ってくるが、

「平気じゃないよー」

しれっと清光は言い返した。

「すぐにでも隠したいもん」

「それはダメだからね。折るよ?」

言った清光を光忠が咎めると、

「やだ」

清光の目が潤んだ。

「隠すって?」

「慧ちゃんは知らないほうがいいよ」

聞いた私に光忠が言った。そうか。何か神様用語なのだろう。

また下手に知ってしまうと自分を苦しめることに成りかねない。

大人しく興味を抑え込んだ。

「満足させてもらえなかったの?」

食事を前に箸を持った私にそっと清光が聞いてくる。

「どうして?」

「なんか、まだ欲しそうな顔してるから…」

心配そうな顔。

「あ…えと、あとお願いがある」

「ん、いーよ」

少し清光に甘えよう。やはり付喪神様に高められた熱は私ひとりじゃ抑えきれない。

「プリンきれいに出来たんだね。美味しそう」

「ほとんど歌仙さんにやってもらったんだけどね」

寝不足すぎて何も出来なかったことが悔やまれる。

「今度は別なのでリベンジしなきゃ」

「また何か作るんだね?短刀たち慧ちゃんが構ってくれるから嬉しそうだもんね」

「私が構ってもらってるのかもよ?」

どちらかというとそんな気がしてる。

だって終わればすぐにどっか行っちゃうもん。

「大丈夫。俺だけは何があっても慧ちゃんを愛してあげるからねー」

緋い瞳を合わせて言ってくれた。そして、

「プリン美味っ!!」

美味しそうに食べたから私もプリンに手を伸ばした。
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