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夢より素敵な 3.5次元

第18章 Show Me The World


「慧びしょ濡れになってんじゃん」

近づいてきた厚が掌で私の顔を拭う。

「案外ガキだよな、慧」

そう言って笑った。

小川から上がって脚を乾かしながら袂に入れてきた金平糖を出した。

「食べる?」

広げて差し出すと、遠慮がちに一粒つまんで口に運ぶ。

「甘い、な」

「そりゃね、ほぼ砂糖だもん」

自分も一粒口に放り込んだ。

「慧ピアス開けてたんだな」

「知らなかった?いつも小さいの着けてたから見えなかったかな」

今日はいつもよりは派手だ。なぜなら、

「なんか加州のやつに似てるな」

「だね」

清光のいつも着けているものによく似ているゴールドのピアスなのだ。

「やっぱ慧は加州が好きなのか?」

「好きだよ」

素直に言うと少し傷ついた表情。

「オレは?どうしたら好きになってもらえる?」

「厚も好きだよ。だけどね、清光じゃないとダメなの」

言うと、

「…そう、だよな。やっぱこないだ三日月が言ってたのは本当なんだよな」

厚が言っているのは私がこちらに戻ってきた日の話のことなのだろう。

「そうだけど、今日デートに誘われちゃって浮かれてる私もいるんだ」

素直な気持ちを伝えると、

「迷惑じゃないのか?」

「じゃないよ。別に清光と付き合ってる、とかそういうんじゃないから」

実際清光以外にも関係を持つ男士が沢山いるわけだし。

「ならまたこうしてふたりで会う時間とかも?」

「いいよ。厚がそうしたいなら」

返すと嬉しそうにまた金平糖に手を伸ばした。

しかしどうにも気配を感じる気がする。

後ろ、じゃあないなと上を見上げると、木の枝の間に薬研たちを発見した。

「あー…」

バレた、と厚が額に手をあてた。

「厚はみんなに愛されてるんだね」

心配してみんながついてきて見守ってくれてるんだ。

「おーい、バレてるよ」

上に向かって手を振ると、目の前に四人が飛び降りてきた。

動きの俊敏さにはビビってしまうが。

「もう少しだったのになー」

乱が少しつまらなさそうに言った。

「何が?」

聞き返すと、

「チューだよ、チュー」

愛染がニヤニヤしながら言う。

目を見開いた私に、

「出来るわけねーだろ」

厚が目を反らして言った。

「すればいいのに」

蛍丸が煽ってくるが厚は無視だ。
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