第18章 Show Me The World
結局着付けは清光にやってもらった。
清光のピアスに石切丸の指輪、長谷部の髪留めと一期の帯留めをつけるとまたいつになく浮かれた私がいて。
「この帯いいね。慧ちゃんに似合ってる」
三日月の帯をいつもと違う結び方にしてくれた。
「今日の慧ちゃんは最高に可愛い」
清光はそう言ってくれるが当の本人は眠たくて仕方がなくて。
「ん、ありがと」
ぼんやりと返すと、
「そんな顔してたら襲うよ?」
なんて言ってくる。しかしもうすでに意識はあまりなく、
「眠い…」
そのまままたベッドに倒れ込んだ。
「あーもう。昨日光忠だったっけ?注意しとかなきゃ、せっかくの非番なのに慧ちゃんずっと寝てることになるじゃん」
側に座って頭を撫でながら言う。
「ご飯になったら起こして…」
お願いして僅かの時間眠らせてもらうことにした。
清光に起こしてもらい無事朝食を食べられた私のところに駆け寄ってくる短刀くんたち。
「慧!早く早く!」
「何から始めればいいんだ?」
わちゃわちゃとし始める広間。
「えーっと、卵と牛乳と…あと砂糖」
言ったものを手分けして厨から運んで来てくれた。
「んと、それを混ぜて器に入れて蒸して…」
まだ眠気が覚めずぼんやりと説明していると、
「慧さん、僕がフォローしようか?」
見かねた歌仙が名乗りをあげてくれた。
「あ、助かります。ありがとございます」
ぼんやりとしている私をよそにてきぱきと短刀くんたちに指示を出して、無事にプリンが大量生産された。
「おやつ出来たー!!」
喜ぶ包丁に、
「冷やした方が美味しいと思うから、昼食後のデザートにしたらどうだい?」
歌仙が提案してくれる。
「わかった!じゃあ遊びに行ってくるね」
そう言って短刀くんたちは勢いよく広間から出て行ってしまった。
「歌仙さん、ありがとござました」
伝えると、
「寝不足なんて雅じゃないよ?少し部屋で寝ておいで」
「…はい」
言われてずるずると審神者部屋に向かう。
布団を敷くことさえ面倒で、そのまま畳に横になった。
多分どのくらいか寝ていたのだろうと思うが、
「慧」
名前を呼ばれた気がして目を開ける。
「迎えにきたんだけど…」
厚が襖を開けて部屋を覗いていた。