第17章 Signalize
一期の抱き方は前と違って優しかった。
私が簡単にイかないようになのかゆっくりと進む行為。
先程までの前戯とは違う。
「慧さん、温かいですね。幸せです…」
「ぁっ、んっ…」
イきそう…。どうしよう。
「イきたいですか?」
「…ぅん、どうしよう」
「少し激しくしても?」
「えっ!?」
イきそうだと訴えたのに、なんで?絶対にすぐイくじゃん。
言い返すこともできず、身体を起こして少し速度を増した一期。
「あっ!ぁ、やっ!!」
一気に高められて、強く収縮した私のなかに一期も放った。
「も、ぁ、なん、で」
「慧さんと一緒にイきたかっただけです」
私を抱き締めて口づけた。
「一期さん、ツラくない?」
「どうしてですか?」
「…一期さんは、気持ち、よかった?」
質問に疑問で返され、困った私は別な質問に変えた。
「気持ちよかったですよ」
聞けて安心した。私だけがそうだとしたら申し訳ない。
「…お風呂」
「そうですね。行きますか?」
私のなかから抜け出すと、横抱きに抱えあげた。
「わ…」
「暴れると零れます」
風呂場まで連れて行かれ、下ろされると言われた通りなかから零れ落ちた。
「すみません。自分の予想以上に出てしまったようです」
なんてこと言うの?
恥ずかしくなりながら身体を洗い、湯船に浸かった。
「ここの清掃等はどうしているのですか?」
「私がやってる」
風呂場もだけど、基本的には部屋も一応やっている。
「大変では?」
「主婦だから別に苦じゃないよ?誰かに任せる方がストレスかも」
料理は光忠たちにやってもらってるからせめて掃除くらいはしないと鈍る。
「男手が必要なときには言って下さいね。力を貸します」
「ありがと」
今日の一期は前とは違う、落ち着いた様子でお湯に浸かっている。
「ねぇ何で前あんなだったの?」
「っ…私は女性の裸を見ていいものとは思っていませんでしたから。今はもう、見てしまったので…」
また瞬間赤くなる一期の耳。
「女の人、苦手?」
「まさか!そんな…私が勝手に意識しすぎていただけです」
「ごめんね」
「謝る必要性が判りません」
私はいつも一期に謝っている気がする。以前も一期に言われた。
「ありがと」
代わりに使える言葉はこれしか思いつかない。