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夢より素敵な 3.5次元

第17章 Signalize


「なら俺と散歩でも行くか?」

大倶利伽羅が手を差し出してくる。

「え?伽羅、さんと?」

「なんだ」

いや、なんだって似合わないじゃない。想像つかないじゃない。

とりあえず起き上がって面食らっている私の手を無理やり掴んで立たせるとそのまま庭に降ろした。

「伽羅さん?」

見上げた大倶利伽羅の顔は少し赤くなっているように見える。

その場にあった草履を慌てて履いた。

少し大股で歩く大倶利伽羅に着物でついていくのはかなりハードだ。

小走りのような状態になっている。散歩じゃない。

「どこ、いくの?」

広い本丸の庭の、小川がある方ではない道を進んでいく。

「あんたに見せたいものがある」

それだけ言って歩き続ける。

「伽羅さん、ちょっと」

「なんだ?」

「はや、い」

息の上がった私に気づき、足を止めた。

「なまってるんじゃないか?」

「っ…散歩って言ったじゃない!これは違うと思う!」

皮肉しか言わない大倶利伽羅につい言い返してしまった。

「…わかった」

そう言うと今度は私の隣に立ち、手は繋いだままで少しゆっくり歩いてくれる。

なんだか信じられない素直さだ。

そんないつになくトゲトゲしていない大倶利伽羅に連れてこられたのは一面の、

「ひまわり!!」

畑だった。

かなり広いその畑はきちんと手入れされていて、たくさんのひまわりが満開になっていた。

「すごい!きれい!」

目を見開いて絶賛する私に大倶利伽羅は満足そうだ。

「慧はなんかひまわりが似合いそうだった」

「私ひまわりいちばん好き!見せてくれてありがとう。すごく嬉しい」

大倶利伽羅の少し浅黒い肌にもひまわりはよく似合っていて、

「伽羅さんにも似合うよ」

言うと、

「なっ…!!」

一気に顔を真っ赤に染めた。

「すごいねー。伽羅さんが手入れしてくれてるの?」

「…あぁ。俺と、国永と光忠でやってる」

伊達組のひまわり畑なんだ。いつの間に。全く知らなかった。

「きれーい。元気になる…」

大倶利伽羅と手を繋いだままひまわりに近づいて花を覗き込んだ。

そして大倶利伽羅の方を振り返ると、繋いでいた手を引かれ、後頭部に反対の手を回され、口づけられた。

「っ…?」

いきなりのことに戸惑っていると、そのまままた深くなる口づけ。

舌が絡まった。
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