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夢より素敵な 3.5次元

第1章 プロローグ


「ところで主」

「ん?」

「まさか酸欠とはな。すまなかった」

先ほどの薬研の診断に対して謝ってきた。

「あ、えと…」

瞬時に手入部屋での行為を思い出し、また頬に熱が集まり始めた私に、

「主はキスが苦手なのか?」

「…なんでそんなこと聞くの?」

「酸欠になるほどってのは、なぁ」

本気で驚いたぜ、と言ってくる。

「…鶴さんみたいなイケメンにあんな風にされたら、誰だって息、出来なくなるよ」

「いけめん?」

「判らないなら誰かに聞いて!」

そもそもは鶴丸がキスという単語を知らなかったことから始まったのだ。

「…それは主も少しは俺を意識してくれていると捉えてもいいのか?」

鶴丸は目を見開いた。

「…」

返す言葉に悩んでいると、

「大将入るぜ?」

薬研が襖を開けた。

「やっぱりな。さっきは加州もいたから黙っといてやったが、酸欠症状の原因は鶴丸だったんだな」

多分少し前からの私たちの会話を聞いていたのだろう、薬研はそう言いながら部屋に入ってきた。

「それから鶴丸、イケメンてのは顔面偏差値の高い男のことだ。しかしまさかふたりがそんな関係とは…」

「そんな関係じゃないよ!」

「ちがうのか?」

「ちがうに決まってるよ!だって私結婚してるんだよ!?」

全力で否定する度に鶴丸の頬が引きつる。

「なぁ大将。結婚てのはここじゃ意味を成さないってのは教えてもらえなかったのか?」

「へ?」

そういえばさっき光忠も私は知らないことが多すぎると言っていたっけ。

これはもう判りそうな人集めて詳しく聞くしかないだろうな。

とりあえず薬研の報告を受けたところで、光忠が部屋にやって来た。

「主、お昼あんまり食べれなかったって聞いたよ?そろそろお腹空いたんじゃない?おやつ持ってきたんだけど、休憩しないかい?」

お盆に光忠手製と思われる和菓子と急須、グラスが載っていた。

そういえばくらくらが治まって少しお腹も空いてきている。

なんてタイミングがいいんだろう。ありがたい。

「薬研くんも食べていきなよ」

「あぁ、ありがとう」

机の上の書類を簡単に片付けて場所をあけた。

「薬研くん、主が具合悪いのは聞いたかい?」

「大したことない。あれは酸欠みたいなもん、だ」

光忠の疑問に薬研はニヤリと笑って返した。
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