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夢より素敵な 3.5次元

第1章 プロローグ


「主もう大丈夫そうなら記録つけるか?」

先ほどの一期の報告も早く文面に起こしておきたい。

「だね。仕事しようか。…清光も…」

一緒にいてくれと頼むつもりだったのだが、

「俺、安定んとこ行ってくるね!」

そう言い残して広間に行ってしまった。

今週はずっと一緒って言ったじゃない…。

少しフラれたような気持ちになった私の肩に手を置き、

「行こうか」

僅か弾んだ声で鶴丸は言った。

審神者部屋で先ほどの一期の報告をまとめ、それから鶴丸の報告も聞く。

「資材いっぱい集めてくれたんだね。ありがとう」

「まぁな。主が喜んでくれる顔が見たいからな」

みんなのお陰でこの本丸の経営状態は悪くない。

自分でいうのもなんだが、パートタイマーだから私の都合で土日祝日は出陣なし。

内番も軽めにしてほぼ非番にしてある。

割とホワイトじゃない?なんて思っていたり。

だが、赤字になるわけでもなく、資材も豊富なのは彼らの働きのお陰としかいいようがない。

「また誰か鍛刀するのか?」

鶴丸が聞いてきたが、

「今はいいや。ちょっと人数手一杯だし、ひとりひとりと向き合いきれてないから…」

「そうか」

答えた私に鶴丸の表情が緩んだ。すると、

「主よろしいですか?報告に参りました」

襖の向こうから長谷部の声がする。

「はいどうぞ。お願いします」

返事をすると、静かに襖が開き長谷部が部屋に入ってきた。

そして鶴丸には目もくれず、淡々と報告をしてくれる。

記入しながら話を聞いて、こちらも成功に終わったことに力を抜いた。

「俺がおらずとも平気でしたか?このアホ鶴が近侍ということがどうにも気がかりで…」

「大丈夫だよ。鶴さん案外しっかりしてて頼れる男だったから」

「案外ってのが聞き捨てならないが?」

「日頃の行いだろうが。褒めていただいたことをよろこべ」

クレームをつけてくる鶴丸を長谷部が一蹴した。

「主、俺に手伝いできることは他になにかありませんか?」

「うーん、今は特に…休んでくれて構わないよ」

「そうですか…。では失礼致します」

頭を下げて審神者部屋から出て行った。

「長谷部も主のそばにいたいらしいな」

「今そんな要素あった?」

「そんな要素しかなかった。俺なんてほぼ見えてなかったぜ」

鶴丸が顎に手をあてながら言った。
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