第16章 Real love
「ぅん。一生いる。もう帰らない」
言ったあとまずい、と思った。
思ったけど、否定しようとした唇を清光に塞がれる。
「んぅー」
もう何にも考えらんない。
清光が好き。それは間違いない。
ずっと一緒にいたい。それも嘘じゃない。
だけど私は10年という猶予をもらったんだ。
その間は行き来しながら生きなくちゃならない。
子どものために。そして、自分の我が儘を貫くために。
旦那にはもう期待もしてないし、正直未練もないけれど。
それでも一度は愛した人だ。
10年かけて恩返しと、付喪神の元へ行く覚悟の罪滅ぼしをしようと思っていた。
言霊は消せるのだろうか?
前はすぐに小狐丸が打ち消してくれたけど。
それに、いちばん初めに言ったことが有効なら、今回のは無効になるのかもしれない。
明日、石切丸に聞いてみよう。
今日はなんだか素直になりすぎたのかもしれない。
だけどずっと続く幸せな浮遊感。
今まで生きてきた大したことない人生で、こんなに愛されたことはあるだろうか?
こんなに必要とされたことはあるだろうか?
思い出せない。だけど多分初めてだろう。
清光に愛されて、鶴丸に愛されて、みんなに愛されてここには居場所があって、私は幸せものだ。
「清光…」
小さく呟いて眠りについた。
もう難しいことは考えたくなかった。