第16章 Real love
「とりあえずちゃんと帯締めようね」
清光にやってもらいながら、私自身素直の意味もよく判っていないのだけど、
「鶴さん、今度はお散歩行こうね」
今日は結局行けなかったなと思い返しながら言うと、
「そうだな。町の方まで行ってみるか?」
「えー、なにそれデートじゃん!?」
鶴丸の提案は清光にはデートと取られてしまったらしく、
「わぁ、デートなんて何年ぶりだろ…」
その言葉に反応して胸をときめかせてしまう私に、
「町で喜ぶとは慧は可愛いな。俺も行きたいものだ」
「みんなで行ったらデートになんないじゃん!?」
三日月の言葉で大人数でショッピングみたいな感じになり清光が突っ込みを入れた。
「じゃあ順番に行く?」
私が言うと、
「じゃー俺いちばんねー」
「そこは俺だろう」
今度は清光と鶴丸が競い始め折り合いがつかない。
「…ならばここは天下五剣が」
「絶対だめだし!」
横入りしてきた三日月を清光が咎めた。
「慧ちゃんは?誰がいいの?」
「…選べるわけないじゃん」
連れてってくれるってだけでも嬉しいのに、順番を決めろだなんて無理。
なら行かない。
「判ったよ、俺たちで決めるからそんときは拒むなよ?」
「はい」
鶴丸が私の気持ちを汲んでくれて、その場はとりあえず収まった。
4人で食事をしに広間に向かい席を探していた私の隣になぜだか物吉と厚がぴたりとくっついてきた。
「なぁに?」
「慧ちゃん、今日はボクとご飯食べましょう」
「オレも慧と食いたい」
「…いいけど」
珍しいふたりに挟まれて食事を摂ることになった。
清光は追いやられてしまい、少し離れたところに行ってしまったし。
「この煮物はボクが作りました」
「そうなの?物吉くん料理の腕上がったよね?」
「はいっ!いつでも慧ちゃんのお力になれるように鍛えてます!!」
嬉しそうな物吉に、
「鍛えるんなら剣の腕もな!」
言う厚。
「あー、そうだ厚。今度刀見せてよ!私写真で厚見たんだけど、他の短刀くんたちよりも厚みがあるのが特徴なんだよね?」
「っ…そう!知っててくれたのか?」
「これでも少しずつ勉強してるんだよ?」
今度は厚が嬉しそうな顔をする。
そんな顔をされると私も嬉しくなってしまう。