第16章 Real love
「薬研、私は大丈夫だから…」
「でもよ、前のも鶴丸だろ?」
私言ったっけ?
「…」
「あんたらの顔みてりゃすぐ判るぜ?俺には隠しても無駄だ」
薬研が笑ったが鶴丸と清光は複雑そうな顔だ。
「治療費は後できっちりもらうからな」
そう言って薬研は部屋から出て行ってしまった。
「薬研怖い…」
鶴丸が呟く。
「悪いのは鶴丸でしょ?てか今度は三日月呼んでこなきゃ。ほら、鶴丸が行って!!」
腰痛の次は頭痛だ。
清光に言われて鶴丸が三日月を呼びに行った。
「慧ちゃん大丈夫?」
「ん、大丈夫」
「あーもう俺だったら慧ちゃんにそんな酷いことしないのに、なに考えてるんだろ」
頬を膨らませながら私の傍に座る清光。
「清光ごめんね。なんかいっぱい濡れ衣着せちゃって」
「いーよいーよ。とりあえず堀川は俺だけだって信じてるみたいだし、俺も悪い気はしないしねー」
言いながら私の頬に手を添える。
「キスしよ?」
「ん」
目を閉じて清光の唇を感じていると、
「鶴丸、そろそろ慧を解放してやったらどうだ?」
三日月の声が聞こえ、目を開けると、
「判ったよ」
諦めたように溜め息を吐く鶴丸の姿が映った。
「とりあえず頭痛が引けばあとは加州が傍にいてやれ。慧の気が今日はおかしいからな」
「判った」
清光が少し私から離れ代わりに三日月が私に口づける。
「大事ないか?」
「はい。ありがとうございました」
腰痛も頭痛も誰かに頼らなきゃ治らない。
正直複雑ではある。
「とりあえずご飯だね」
「だな」
何だか今日は食事とセックスしかしていない気がする。
なんて怠惰な1日だ。
全く役に立てていない気がして少し自分にがっかりした。
「ねぇ三日月、慧ちゃんの気がおかしいってどういうこと?」
清光が三日月に聞いた。
「以前は皆が素直になるような現象が起こったであろう?」
「うん。今日も慧ちゃん素直になってるって…」
「慧だけ、がな。他の男士はいつも通りだ。それがお主と鶴丸との差なのであろうな」
鶴丸は何だか不満そうだ。
「だけならまだいいのだが、少し気になるところがあってな。俺にもはっきりとは判らないのだが…」
「そっか。判った。じゃあ俺が守るね」