第16章 Real love
鶴丸と交わって、彼を乗せたままふたりで眠ってしまっていたらしい。
「ちょっとー!そろそろ晩御飯の時間なんですけど?」
清光の苛立った声に叩き起こされた。
「あのねぇ鶴丸。やりすぎ」
「あぁすまん。慧のことになると止まらなくなっちまう」
鶴丸が私の上から避けて、身体を伸ばした。
「慧ちゃん起きれる?」
清光に言われて起きようとしたが、
「っ…」
酷い痛み。
「どした?頭痛か?」
「ぅん、あと腰…」
動くことができずに伝えた私に、
「鶴丸!!?」
清光が怒りの矛先を鶴丸へと向けた。
「だいたい慧ちゃんが身体壊すまで抱いてるの鶴丸ばっかりなんだからね!前も、今日も!ちょっとは考えなよ!俺はちゃんと我慢してるよ!!?」
「すまん…」
「とりあえず適当に着せて薬研のとこ連れてかないと。ここには呼べないし」
言いながらなんとか私に着物を着付けようとしてきた。
「ここ、袖通して」
「うん」
清光にされるがままなんとか着物の帯以外を着付けてもらった私を、鶴丸が抱き上げる。
「審神者部屋に連れてって。俺薬研呼んでくるから」
「わかった」
清光に指示され私を審神者部屋まで運んでくれた。
「俺が乗ったまま寝たのがまずかったか?」
「かもね…」
布団を敷きその上にうつぶせに寝かされると、
「おい慧またやったのかよ」
呆れた声を出しながら薬研が部屋までやってきた。
「ごめん…お願い」
「ちょっと我慢しろよっ」
薬研が掌をあてて力を込めた。
また鈍い音がしたが、頭痛も酷いのでそちらの施術の痛みは感じない。
「今日は誰なんだ?加州か?」
「違う」
さっきから清光が濡れ衣を着せられていて、心苦しくなって否定すると、
「そうか」
薬研はそれだけ言ってまた力を込めた。
「加州は慧に優しそうだもんな」
「ぅん、すごく優しいよ」
薬研の言葉に胸が熱くなる。
うつぶせのまま目の合った清光は少し嬉しそうに緋い目を揺らした。
「どうだ?動けそうか?」
「多分。ありがとう」
やはりかなり痛みは引いてするっと起きあがった私に、安心した薬研の表情。
そして何を思ったのか、
「鶴丸よぉ、あんたはもうちっと慧が弱い人間だってこと考えてやれ」
言い放った。