第16章 Real love
堀川に言われ、
「そうか?じゃあ…」
立ち上がりかけて、
「いや、やめよう。絶対慧に手を出すだろう?」
もう一度私の隣に座った鶴丸に、
「ちぇっ」
堀川は頬を膨らませた。
「慧別へ行こう。ここは危険だ」
私の手を引いて立ち上がらせると、道場から出る鶴丸。
「散歩でもするか?」
「あの、仕事…」
朝、山姥切に丸投げしたままだ。
気になってしまい審神者部屋に赴くと、山姥切は大量の報告書に頭を抱えていた。
「山姥切さん、ごめんなさい」
部屋に入って書類を手に取ると、
「あぁ、あんたか。すまない、俺ひとりだと終わらなかった」
顔を上げて少しほっとした顔をする。
「仕方ない。俺が風呂に行ってる間に済ませといてくれよ」
鶴丸はそう言って審神者部屋から出て行ってしまった。
「今日の戦課は普通じゃない。見てみろ」
確かになんだかまたありえない数字が並んでいる。
「なんか作るか?」
「作る?」
「手入れが必要ないなら鍛刀しないと資材が余る」
「そっかぁ…」
新しい仲間が増えるのは喜ばしいけど、不安もたくさんあって。
「ちょっと考える…」
「そうだな」
山姥切は私の不安を汲みとってくれたようだ。
「うち金持ちだね、なんか」
「だな。なんか欲しいものはあるか?」
「私は特に…」
みんなが要るものがあれば買えばいいと思うし、ないならば食費に使えばいい。
「ないのか!?」
「別に…」
言う私に、
「女ってのは金はあるほど使うものだと思っていた」
山姥切が言った。
私はただの主婦だ。湯水のように使う感覚はない。
「おかしい?」
「いや、むしろ好感が持てるが…」
戸惑いを隠しきれない山姥切とお金の使い道を考えていると、風呂上がりの鶴丸が戻ってきた。
「慧、仕事は終わったか?」
「まぁ…」
答えた私の二の腕を掴み、
「山姥切、あとは適当でいい」
そう言って私を審神者部屋から連れ出した。
「どこ、いくの?」
聞いた私に、
「今日は一日中慧を啼かせたい」
そう言ってまた私の寝室へ。
「まだするの?」
夜するのにしてはまだ陽が高い。
「俺は一日中慧を抱いてられる」
そう言って着物を脱がせに掛かった鶴丸。
私はおとなしく身を任せた。