第16章 Real love
「ごめん、男の子ってどんな話してるのか気になっちゃって。お詫びに」
安定の手首を掴んで、
「そんな気になるんなら触ってみたらいーよ。ただの脂肪の塊だから」
掌を胸に押しつけてやった。
「っ慧ちゃん!?」
「ね、大したことないでしょ?」
安定は真っ赤な顔をして動けなくなっている。
「ははっ、ただの脂肪の塊だから触らせるとは驚いた」
鶴丸が興味深そうに眺めている。
「これが素直になるってやつか?」
「え?慧ちゃん今その状態なの!?駄目じゃんそれ!!」
鶴丸の言葉に清光が慌て、安定の掌を引き剥がした。
「もー、慧ちゃんがそんなことするなんておかしいなとは思ったけど…」
えいっと安定の手を振り落とす。
「安定さん、どうでした?」
「めちゃくちゃ柔らかかった…」
引き剥がされた安定は掌を見つめてぼんやりと答えている。
「えー!いいなぁ。僕は?僕もいいですか?」
「いーよー」
「駄目だってば!」
受け入れた私を清光が慌てて否定し、拒む。
「いいじゃん清光。お腹のぷよぷよ触るのと変わんないくらいの恥ずかしさなんだから」
まぁどちらも恥ずかしいのではあるが…。
行き場をなくしかけた堀川の手をとって胸に触らせた。
「わぁ…ほんとに柔らかい!」
そのまま掌を動かし揉んできたもんだから、
「っっ…」
ちょっと感じて下唇を噛むと、
「堀川、終わりだ」
今度は鶴丸が堀川の手を剥がした。
「え?もうちょっといいじゃないですか」
「だめだ」
そう言って私の胸元に腕を回して引き寄せる。
「俺が嫉妬してしまうからな。驚いたか」
「別に驚きませんて」
堀川が小さくため息をついた。
「慧感じてたろ?」
私にだけ聞こえるほどの声で耳元で囁かれ、顔に熱が集まる。
「鶴、さんっっ」
「あーあーもう。鶴丸?慧ちゃん苛めて遊ばないでよね」
咎めた清光に、
「すまんすまん」
謝るが離してはくれないらしい。
「汗かいちゃった。俺風呂行ってくる」
「僕もっ」
清光と安定は連れだって行ってしまった。
「鶴さんはいいの?」
「あーさっきから風呂入ってばっかだしなぁ…汗臭いか?」
「別にそんなには」
「鶴丸さんも行ったらどうです?慧さん僕と待ってましょ」