第16章 Real love
「なになに?手合わせしてたの?」
道場に顔を出したのは安定と堀川だった。
「そー。勝負つかなかったけどね」
「ふぅん。僕ともやる?」
「いーよ」
私に加州清光を預けたまま清光が立ち上がる。
「それ、抱いてて。やる気出るから」
「うん」
言われて縦にして抱いた。
「怖くないんですか?」
私の隣に座った堀川が聞いてくる。
「ちょっと平気になったみたい」
「へぇ。そっか」
場の空気が張り詰めて、清光と安定の手合わせが始まった。
「あのふたりは動きがよく似てるから見てろ」
鶴丸が指差しながら教えてくれる。
確かによく似た動き。見た目は全く似てないのに、やはり共に沖田総司の愛刀だから似ちゃうのかもしれないな。
そう思いながらふたりを見ていたが、
「堀川くん」
「何ですか?」
「肩貸して」
言うが早いか、加州清光を抱いたまま堀川の肩に頭をのせて目を閉じた。
頭痛と睡魔。さっきの鶴丸のが来てる。
だけど、素直になるっていうやつ、私だけにしか出てなくない?
みんなにはそんな感じない。
やっぱりいつものは清光と、だからなのかもしれないな。
「あーもう、勝負つかないって、慧ちゃん寝てるの?」
「シー!まだ寝て10分くらいしか経ってないんだから!」
手合わせが終わったのか清光と堀川の会話が聞こえてくる。
「清光さんのせいなんでしょ?急に寝ちゃいました」
ほんとは起きてるんだけど、しばらくどんなこと話してるのか聞いてみちゃおうかな…。
「俺じゃないし…」
否定したが、
「加州っ」
「いや、やっぱ俺だわ」
鶴丸に押し付けられ肯定している。
「いーなぁ。毎日慧さんとえっちできるなんて。旦那さん気取りですね」
「う…ぅんまぁ」
歯切れの悪い清光。
「ねぇねぇ慧ちゃんってどんなふうになっちゃうの?やっぱりおっぱいって柔らかいの?」
安定まで食いついてきてる。
会話の内容はめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど、何だか気になってしまって未だに目を開けず寝た振りを続けていると、
「慧、起きてるんだろ?助けてやれよ」
鶴丸が私に言った。
目を開けると、
「え!うそ、聞いてたの?」
「寝たら1時間は起きないって言ってたじゃないですか!?」
焦る安定と堀川。パニックだ。