第16章 Real love
清光と鶴丸の手合わせは凄かった。
怖い、よりも凄く目を引いた。
「ねーねーどっちの方がカッコよかった?」
汗を拭いながら私の前に来て言う清光。
「どっち…て」
「そりゃあ俺だよな?」
「あの。ふたりとも凄く素敵だった!私は戦を経験したこともないし、本当は凄く怖いんだけど、すごくキレイだなって思ったの」
なんて言っていいかわからず思ったままそう伝えると、
「多分それで正解の答えだよね」
「あぁ」
清光と鶴丸は満足そうだった。
「ねぇ清光」
清光の手には木刀と、そして加州清光が握られている。
「刀、触ってもいい?」
「これ?いいよ」
なんの戸惑いもなく私にその赤い鞘に入った刀を突き出してきた。
両手で受けとるとすごく重たい。
「平気?」
「まだ側だから」
言いながら柄を握って少し引くと、カチリと音が響いて刀身をが姿を見せた。
「わ…」
とても全部は抜けなくて途中で止めてその刀身を見つめていると、
「どう?」
「キレイ」
答えた私に満足そうだ。
「ここ触ったら切れる?」
「そりゃあね」
やはりそうか。おとなしく刀を鞘に戻しておいた。
「すごいね、なんだか。私前に、図書館で刀の本を借りたの。開いたらまず鶴さんの写真があってね」
「ほう、俺か」
「他にも短刀くんとかにっかりさんとか三日月さんとかいっぱい載ってたの」
説明文と一緒にその写真を、怖いながらに目に焼き付けたのを覚えてる。
「だけど、清光は見つからなかった」
私がそう言うと、清光は少し悲しそうな顔をして、
「慧ちゃんは池田屋事件って知ってる?」
「短刀くんたちが行った場所の?」
「そう。そこで池田屋事件っていうのがあったんだけどね、俺その時に折れちゃったんだ」
少し遠い目をした清光が教えてくれた。潤んでいるようにも見える。
「だから、載ってなかったってのはそういうこと」
「だけど、ここにいる…」
「そうだよ。だって神だもん。俺みたいな刀、実は結構居てね、安定とか薬研とかも当時の刀は残ってないんだ」
「そう、なんだ」
まだ握っていた加州清光をもう一度見つめて、
「今こうして私と出逢ってくれてありがとう」
伝えると、
「わぁ、慧ちゃんはそう言ってくれるからやっぱり好きだよー」
抱きついてきた。